椎名ピザ

ショートショート/映像/妻:納豆ご飯/お笑いと音楽と服が好き

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  • 思い出のザーピー

    思い入れの強いの作品を集めました。

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レンタサイクルの彼女(シロクマ文芸部)

珈琲とコーラを一つずつ頼んだ。 僕の口の中で想定外の苦味が広がり、彼女の珈琲を間違えて飲んでしまったことに気がついた。 そんな僕をみて、高校生とは思えないほどあざとく膨れ顔をする彼女は、 レンタサイクルで去っていった。 下校中、突然大雨が降ってきた。 お互い会話に夢中で、空の色など気にしていなかった。 ちょっと先に駄菓子屋を見つけ、雨宿りをしていこうと提案しようとした僕をよそに彼女は、 レンタサイクルで去っていった。 大学の合格発表。 学科は違うが、僕らは自

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レンタサイクルの彼女(シロクマ文芸部)

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    10本

記事

    TFPⅡ(シロクマ文芸部)

    子どもの日といいながら、僕は恩恵を受けたことがない。 今年も両親が行きたいアウトレットについていくだけだった。 本当は水族館に行きたかったのに。 せめておもちゃでも買ってほしかったのに。 両親は値引率だけみて買った服を両手に持って満足そうにしていた。 僕はその場で悲しくなって泣いてしまった。 母親は金貨を模した美味しくないチョコを渡してきた。 僕の気持ちがなかなか収まらずにいると、迷惑そうに早足で車に向かっていってしまった。 僕は一人で取り残された。 これか

    TFPⅡ(シロクマ文芸部)

    【2歳児の創作むかし話】 むかしむかしあるところに、キティちゃんとクロミちゃんとマイメロちゃんがいました。

    【2歳児の創作むかし話】 むかしむかしあるところに、キティちゃんとクロミちゃんとマイメロちゃんがいました。

    【シロクマ文芸部】春がなりたい職業

    春の夢は保育士だ。 春は園児のころから保育園の先生に憧れていた。 そして何より大好きな子供に関わる仕事をしたかった。 春は一生懸命勉強した。 1日6時間勉強した。 そして、春は保育園の先生に、 なれた。 春は新しい夢ができた。 プログラマー。 保育園ではいろいろあった。 そしてなにより、減っていく子供より、発展していくデジタルの世界に興味を感じた。 春は一生懸命勉強した。 1日6時間勉強した。 そして、春はプログラマーに、 なれた。 春は新しい夢

    【シロクマ文芸部】春がなりたい職業

    嘘をつくな嘘を!(2回目)

    嘘をつくな嘘を!(2回目)

    カレー(シロクマ文芸部)

    花吹雪が舞う。 アパートの窓辺を眺めながら君が言う。 「春ってあんまりカレー食べたくならないよね」 僕は思った。 全然そんなことない。 僕が一瞬下げた眉毛に気づかずに、君は続けて説明した。 「夏はスタミナつけたいからカレー食べたくなるでしょ。秋も食欲の秋だし。冬も寒いからカレー食べたくなる」 君は無茶苦茶なことを、もっともらしく言う。 僕は君のことが好きだと思っていた。 君とこのまま家族になりたいと思っていた。 でもそれは間違いだったみたいだ。 僕は春も

    カレー(シロクマ文芸部)

    嘘をつくな嘘を!

    嘘をつくな嘘を!

    白球とテレキャスター(シロクマ文芸部)

    桜色の景色は遠くへと消えた。 僕のスマホには“不合格”とだけ書かれた画面が表示された。 仮にスマホが通信制限されていたとしても難なく表示されそうなくらい淡白な情報量だ。 僕はこの一年、何をしていたのだろう。 受験を理由に、ずっと続けていた野球も最後の大会を前にして辞めた。 受験に専念できる環境だけ整え、何もしなかった。 言うまでもなく、野球から逃げたかっただけだ。 僕はレギュラーになれる見込がなかった。 そのくせ練習も嫌いだった。 試合に出れないのに、強制さ

    白球とテレキャスター(シロクマ文芸部)

    月が見えない日(シロクマ文芸部)

    朧月ではなかった 月が見えない日に見えたのは 自転車のない駐車場だった 朧月ではなかった 月が見えない日に見えたのは 点字ブロックを踏まない小さな正義感だった (74文字) 以下、企画に参加させていただきました。

    月が見えない日(シロクマ文芸部)

    街裏ぴんくさんおめでとうございます

    街裏ぴんくさんおめでとうございます

    【シロクマ文芸部】春夏秋冬

    春と風 夏と海 秋と紅葉 冬と雪 ぐりとぐら (18文字) 以下、企画に参加させていただきました。

    【シロクマ文芸部】春夏秋冬

    【シロクマ文芸部】半袖短パンのジョーカー

    梅の花が咲いて、春の匂いを感じた。 でも僕にはあまり関係がない。 僕はいつも半袖短パン。 君のせいだ。 少し栗色の髪をした、奥二重のキリッとした瞳の子だった。 小学二年生の秋、君は半袖短パンの僕をカッコいいと褒めてくれた。 僕はその日から僕は、春夏秋冬半袖短パンの呪いにかかった。 君はその後すぐに転校してしまって、そこから会う事はなかったけど。 いつか君に会えるんじゃないかと思えば思うほど呪いは強固になった。 中学も半袖短パンの学ラン。 高校も半袖短パンの

    【シロクマ文芸部】半袖短パンのジョーカー

    【エッセイ】死んだまんま眠ってる猫

    「猫が死んじゃった。どうしよう」 1時間程度の残業を終えて、会社を出たところで母親から電話があった。 久々に聞いた母親の声は、それ以外は何を言っているか分からなかった。 こんなに冷静さを失っている母親は初めだった。 というか嗚咽するほど泣きじゃくる50歳オーバーの声を初めて聞いた。 自分は実家を出ているので、毎日猫とは顔を合わせていない。 もし実家に住み続けていたら自分も同じようになっていたかもしれない。 いつか必ず来るこの日を、目の当たりにしなくてよかったと少

    【エッセイ】死んだまんま眠ってる猫