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10/7、読書のための喫茶店。

烏丸丸太町の交差点で、近くにひと息つける場所がないかと検索したら、ある喫茶店が出てきた。「読書を楽しむおひとりさまにオススメ!」と言われたら、白羽の矢も自ら立たせるというものだ。

自転車を漕ぐこと5分、地図で指定された場所には年季の入った雑居ビルがあるだけ。よく目を凝らすと、その喫茶店が置いたとおぼしき駐輪場の案内が。
1階は車庫なので、喫茶店に入るには薄暗い階段を登って行かなければならない。しかし、どうみてもただの雑居ビル。こんな怪しいところに入っていっていいのか? そもそも営業しているのか? と不安に駆られ、しばらくビルの付近をうろついた。そんな自分もじゅうぶん怪しいが。

と、階段に人影。女性がひとり降りてきた。
体内に響き渡る「行くなら今!」のコール。その階段を上がるための、口実が欲しかっただけなのだ。

おずおずと上っていくと、左手にそれらしい入口が。意を決して入る。第一印象は「静謐」。お客さんが誰もおらず、空いているのかとさえ思った。
が、よくみると15席ほどのカウンターはほとんど満席。薄暗い店内で、カベに向かい合いながら各々が黙々と本を読んでいる。
誰ひとりとして、羽伸ばしのさえずりに来ているものはいない。ほぼ全員が一名客としてここを訪れていて、「しゃべり声を上げたら全員で袋叩きにする」という強い気のようなものが場を支配していた。

その空間に割って入るのが、コーヒーミルで豆を挽くガリガリという音。そして湯気に乗って漂う、かぐわしい香り。
全てが静かで、動かないことを求められる空間の中で、この2つだけが伸びやかに躍っていた。

どんよりとした曇り空を避けてここに集う読書人に負けじと、僕も本を開いてみる。最近は「源氏物語」を読破してみようという気になって、現代語訳されたものをちまちまと読んでいる。分厚い文庫本にして7冊と長編だが、ストーリー展開など読み応えがあって面白い。

しかし、外気がこもって少しあたたかい店内。薄暗く、本とコーヒーの匂いがする店内。日が落ちてきて、窓の向こうも夜に近い店内。読書をしながら、ついウトウトと居眠りに落ちてしまうことも。それだけしずかで、心地の良い場所であったともいえるが、ブックカフェで寝てしまうのはもったいなかったな。

コーヒー1杯だけ頼み、2時間弱ほど滞在。お金を払って階段を降りると、なんてことのない道や町並みが広がっていて、異世界から帰ってきたような錯覚を覚えた。

この喫茶店、名を「月と六ペンス」という。ひとつご贔屓に。

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【夕食のコーナー】

サカナが体にいいと聞いたので、スーパーでサカナを買いまくる。貧乏人の手が届くのは鮭かサバの切り身くらいでバリエーションにはかけそうだが、美味しいので大丈夫だよ。

ほうれん草のおひたし、こちらは1束まるまる茹でたら5日分くらいできた。また冷蔵庫を占領してしまうな。

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「月と六ペンス」は、同名の小説からとられたものだそうだ。この店で読んだら、格別の味わいとなるだろうか。

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