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現代川柳と短文

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短詩型文学の「現代川柳」1句と、それにまつわる短文を書いていきます。
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記事一覧

キッチンに桜がないと思うなら

シリーズ・現代川柳と短文NEO/056  桜の木は自分の花を見られたいだろうか。植物にとって花…

これひょっとしてえびのとこ影絵なん

シリーズ・現代川柳と短文NEO/055  甲殻類アレルギーなのでえびは食べない。念のため、えび…

春にしてミニカーとして君離れ

シリーズ・現代川柳と短文NEO/054  ふつうのカーと比べてミニだからミニカーなのであり、こ…

ストローが売りきれてても会いにきて

シリーズ・現代川柳と短文NEO/053  ストローで家を作った。家の模型ではなく、一家4人が寝…

爪あとの上によくないステッカー

シリーズ・現代川柳と短文NEO/052  きょうは心理テストをしよう。まず、自宅玄関のドアにシ…

読みかけの本に関するベーコンを

シリーズ・現代川柳と短文NEO/051  わたしなどはベーコンと聞くとスライスされた状態を思い…

笹かまを古城に置いておけばいい

シリーズ・現代川柳と短文NEO/050  笹に似たかまぼこやカニに似たかまぼこがあるが、そもそもかまぼこじたいが蒲(かま)という植物の穂に似ていることを由来とする名前だ。われわれはえんえんなにかに似せつづけているのである。いったいなにをやってるんだ。くらくらする。もはやカニがカニカマに似ている。 【きょうの現代川柳】 笹かまを古城に置いておけばいい /今田健太郎

折り畳み式ミニロトを折り畳む

シリーズ・現代川柳と短文NEO/049  折りたためるから折りたたむ。人間の性だ。それと住環境…

顔を見ている時 時がとまってる

シリーズ・現代川柳と短文NEO/048  時が止まって4年が経った、という一文には矛盾が含まれ…

ミニカーの荷台に砂糖 角砂糖

シリーズ・現代川柳と短文NEO/047  角砂糖があの形なら丸砂糖の形も予想がつきそうだ。丸い…

だれひとり髪を切らない犬神家

シリーズ・現代川柳と短文NEO/046  八つ墓村と犬神家をまちがえてからなにもかもがだめにな…

4kmのしおりはさんだミステリー

シリーズ・現代川柳と短文NEO/045  ねえ、こんなきれいな月夜の晩に、ぼくらサナトリウムを…

めちゃくちゃなラッコになんて言えばいい

シリーズ・現代川柳と短文NEO/044  ひさしぶりにラッコを見るとそのかわいらしさに驚く。と…

目が光るときは静かにしています

シリーズ・現代川柳と短文NEO/043  会長の一喝で会議室の面々は黙りこんだ。それに満足したのか、会長はそれ以上なにか付け加えることはなかった。長い静寂。文庫本でも持ってくればよかった、とわたしは思った。ちょうど鞄に読みかけの推理小説が入っているのだ。やがて日が落ち、外が暗くなり、会議室も真っ暗になって推理小説どころではなくなった。重い空気。明かりをつける者すらいない。暗いのをいいことにわたしは目をつぶっている。ぎゅっと力をこめて目をつぶっている。まぶたも筋肉なんだな。目