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現代川柳と、400字の雑文

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楽しく作った現代川柳と、それにこじつけた400字くらいの雑文のセットです。たまに400字ではないときもあります。注意しましょう。
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記事一覧

雨降りはお試しコース含まれず

 現代川柳と400字雑文 その100  ラクロスの試合で知りあった安堂さんはどちらかとい…

ゼラチンであろうが容赦しませんよ

 現代川柳と400字雑文 その99  予備校講師の関さんは暑い時期になるとよくゼリーを食…

肉類の声を心の耳で聞く

 現代川柳と400字雑文 その98  料理の工程に、肉を叩いて薄く引き伸ばすというものが…

暗くなるまで豚肉と待っていて

 現代川柳と400字雑文 その97  高橋さんの描いた豚の絵が県知事賞をとったのは小学3…

もちもちのマルチタスクになっていく

 現代川柳と400字雑文 その96  十年ほど前、あるウェブサイトを作る際に付き合いのあ…

行ったことあるコンビニの走馬灯

 現代川柳と400字雑文 その95  石井さんはある時期、家の近くのコンビニに毎日通って…

白楽器 嘘から嘘へ陽が落ちる

 現代川柳と400字雑文 その94  幼少期にすこしだけ習っていたおかげで小島さんはいまもバイオリンが弾ける。といっても腕前は小2の頃のまま、あるいはそれより後退しているらしい。いまでは、たまに思い立って押入れから取り出して弾き、そのたびなんとか「音の出し方」を思い出せるようになる、というレベル。その際に不思議なのは、前回弾いたあと、そのバイオリンを押入れの一段目にしまったか、二段目(天袋)にしまったか、かならずわからなくなっていることだ。正確には、「一段目にしまったはず」

みっしりと部屋いっぱいにぞうの影

 現代川柳と400字雑文 その93  長谷川さんがまだ実家に住んでいたころの話。昼間、2…

鳥の名を鳥に尋ねるかのような

 現代川柳と400字雑文 その92  S池は山崎さんの散歩コースの途中にある小さな池で、…

気づかれぬようにだんだん石になる

 現代川柳と400字雑文 その91  久保さんが小学校の5年生の頃、自治体が企画した、地…

廃屋の中から匂い 豆カレー

 現代川柳と400字雑文 その90  橋本さんの高校時代の同級生であるUさんは「米が汚れ…

土器モデルチェンジそろそろだったはず

 現代川柳と400字雑文 その89  大塚さんが地元の博物館で働きはじめて間もないころの…

広告のチラシの隅の九十度

 現代川柳と400字雑文 その88  和田さんはある日、新聞の折込チラシを見てびっくりし…

過ぎ去った自分のことを監視する

 現代川柳と400字雑文 その87  Nさんの実家はそれなりに大きな一戸建てで、玄関先には泥棒対策としてダミーの監視カメラが設置されていた。ダミーなので実際は撮影していないのだが、ある日、Nさんの母親が、「そのカメラで撮影されたかのような玄関先の映像」を夢に見たと言い出したことがあった。すでに亡くなった父方の祖母が、玄関のチャイムを何度も押したあと、カメラのほうを見てニヤッと笑ってそのまま去っていったのだという。それから何日かして、とくにそのこととは関係なく一家で祖母の墓参