マガジンのカバー画像

逆噴射小説大賞2019-第1週

176
逆噴射小説大賞2019-第1週に投稿された作品をまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

ラブサバイバー

『スケベがマイアミ方面に広がっています。住民の方々はご注意ください』  テレビの女が言う…

エンガワ
4年前
27

さらば、崇拝者よ

 空が、怨念により黒く染まる。大地が、血を吸い朱に染まる。  邪教の僧共の念仏は、輪唱と…

arito
4年前
11

ヤクザvsアンデッドヤクザ

ヤクザになんてなるんじゃなかった。 地面に突き刺したシャベルの足掛けに体重をかけながら、…

しぼり
4年前
10

ロス 共犯者たち

「ここはあの人のお気に入りだったの」  俺とマダム・サンドラはマイアミビーチのカフェテラ…

エンガワ
4年前
11

Unlocker! 美女の扉と少年の鍵

バーの照明が消えたのかと思った。 「貴方がミカルね」 油臭い水を啜っていた少年……ミカル…

37

アタック・オブ・ザ・キラー・珪藻土バスマット!

「アイエエエ…助けて…助けて…」 風呂上がりの男が尻餅をつき、失禁しながら命乞いをする…

ロニー&ペイジの憂鬱な荒野の走馬燈

「とっとと殺れ!」 鈍い鉄が弾けて車体を揺らした。 これで多分三両目はもうだめだ。 目がもう一つあれば正確な判断ができるだろうが、追われてる時は二つで終いだ。今日の仕事分は捨てるしかない。 俺は燃料をくべた。青い炎が頬を照らす。目に悪いっちゅうの。 「ペイジお前死にたいのか!早くアイツらを爆破しろ!」 「なかなか狙いが定まらなくて!」 六駅目。 真っ暗だった線路にようやく明かりがやって来る。 俺は目を横に流した。おいおい。 奴等はお天道様の下を突っ走るインディアンみたいに真っ

ニューマンライツ、カメラ、アクション!

そして、雄大な地球を背負ったスタッフロールが終わった。「国際連環」「国際人類和平機構」の…

高梨蒼
4年前
13

医者/殺人鬼/探偵

「犯人は…貴方です!」 探偵はホールに皆を集めると高らかに宣言した。 (違う!犯人は私だぞ…

とう腐
4年前
31

終末神奈川決戦

 神奈川を横断する東名高速道路をおよそ2万5千を越えるバイクが埋め尽くしていた。  法定速…

ishiika78
4年前
28

地龍VS事故物件

 結局のところ、誰も地龍には敵わない。歴史がそれを証明している。  ある日突如として現れ…

新約:バベルの塔

「反応来ました! 語群です!」 「面舵いっぱい、絶対に逃すな! 今度こそ釣りあげる!」 …

25

炎、うず巻けよわが胸

時速285kmでぶっ飛ばす。 東海道新幹線”のぞみ”は新横浜を過ぎた。後は名古屋までノンスト…

57

反逆の聖者

 人類の進化が一段階進んで、数十年が経っていた。 「お兄ちゃん!」  祐里が、粗末なベッドに横たわる彼に呼びかける。 「う…ん?」  大人になってまだ日数が浅い、あどけなさの残る顔。あまりに柔和な作りで、男か女か判断に迷う。 「おはよう、祐里」  声は紛れもなく男。だが細く優しい響で、もう少し高ければ女として通っている。 「今日は市場で野菜を買いに行くんだったよね」 「ごめん、すっかり忘れてた」  恥ずかしそうに頭をかくその姿は、妖精のように神々しい。  破棄された建物の