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【part20】新しい関わり方、の話。

腹を決めてから冬が過ぎて、そこからまた1年が経って何度目かの春。このエッセイを書き始めたころ29だった私も、気づけばあっという間にそれなりの歳。

出入り禁止

突然だが私はツレの部屋を『出禁』扱いになっている。
どういうことかというと文字通り「ツレの部屋に出入りしてはいけない」という状態なのだけど、それはかつて私がツレの大事にしていた植物を台無しにしてしまったり、数多くのポンコツをやらかしたりしながら、ツレのストレスをことごとく溜めまくった結果として言い渡されたことである。
同棲していた訳でも元々会う頻度が多かった訳でもないのにその状態にさせる私は、まあ控えめに言って何かしら問題があるに違いない。

最初こそ「出禁」という事実に多少悲しさはあれど時の流れというものは残酷で、その宣言をされてから1年半、私は良くも悪くも強くなってしまった。

そもそも早い段階で「出禁されようとされまいとまあ会う場所を変えれば良いだけの話」として切り替えてしまったし、一度「海さんと同じ空間にいると自分が破壊されていくような気がする」とさえ言わしめてしまった相手に対して、今では「私みたいなちんちくりんに破壊されるだなんて大した男じゃないし あんたはそんなもんじゃないでしょ」くらいに思っているもんだから救いがない。

周りからはこの関係について意味が分からないだのさっさと別れろだの言われつつも、かくのごとく、一度腹を決めた女は稀に滑稽なほど頑固であり、どこまでいっても調子がいい。


ただ、かつてツレの大事なものを踏み躙ったことだけは、その後の自分の経験も相まって、深く痛く反省している。



引き寄せと縁と

出禁の状態でも、たまに一緒にご飯に行ったり旅行に行ったりはしながら過ごしていたのだけど(そしてそれは「他の場所で会えばいいだけ」スタンスの私にツレが妥協しているに過ぎないのだけど)、ちょうど先週の話、ひょんなことからツレが仕事の方で関わるかもしれなくなった。

しれなくなった、と言いながらそれを引き起こしたのは自分であり、それは社外としての関わりではなく自社のミッションを追う立場としての関わり方である。

私は前々から今の会社に必要なあるポジションについて、要件とカルチャー的な相性を考えたときに、候補の1人としてツレが最適だろうなとは思っていた。ただ、そうは思いながらここだけの話、仮にツレが今の会社に関わるのであれば、私は辞めた方がいいだろうなと思っていた。

それは私が辞めるのを遥かに上回るくらい、ツレがこの会社へ利益をもたらしてくれるだろうという謎の自信があったことと、それから私たちが「パートナーである」と知ったときに周りの人が多少なり働きにくくなるであろうと思っていたからである。

それを人事の姉さんに話すと決まって「海ちゃんが辞めることを選択させる、そんな決断する経営陣なんて絶対嫌なんですけど」と言ってくれるのだけど、事実あらゆる面で気を遣われることは想像に易い。

だからそのうち、私が自分で辞めようなどと思わないくらいの実績を出してから、どこかのタイミングで代表や役員陣とツレを引き合わせられたら良いな、くらいに思っていたのだが、意外とその機会が早く来た。

ここではまだ詳しくは触れないが、代表とツレには浅からぬ縁があった。共通の知人も実に多かった。タイミング的にちょうどそのポジションをうちの会社が急ぎ欲していたこともあった。関係者の集まる大事な会議があるという時間に、普段は絶対に空いていないツレの予定がちょうど空いていたことも含めてまるで、「当たり前にそうなるべきこと」のように全てが流れるように進んでいった。

あまりの急展開に私自身あまり実感がない状態である。

代表以外の人に彼が私のツレであることを隠しておこうかとも思ったが、「そんなの隠さんでええやん面白いやん」と言ってのける代表に、私は「はあそうですか」と回答する他なかった。

まあ、社員の酒の肴になるネタを提供すると考えれば安いものか、と割り切った。



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出会ってからはかれこれ8年、付き合ってからは4年ほど経つ。

意外にも自分がツレの前とヨソとでそれなりに人格を使い分けていたらしいことにも初めて気づきながら、この変化も戸惑いもまた楽しみの一つとして捉えている。

ツレもいつかその名と共に私が発信する諸々の情報に登場するであろう。

いつか然るべきタイミングで、関わり方もその背景も含めてまた、文字に起こしていこうと思う。




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