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エンタープライズ営業が押さえておきたい”商談ストーリー構築”の説明書

はじめに

noteに足を踏み入れていただきありがとうございます!カンリーの林です。
(はじめましての方、カンリー公式noteもあります。良ければご一読ください!)

今回はエンタープライズセールスについてです。

社会人経験のほとんどをエンタープライズ営業(大手企業のクロスセルや新規開拓、営業戦略・戦術の設計や組織運営)として関わっている中、

今回は過去に一緒に仕事をしていた人や出会った方を含めて”エンタープライズ営業”で成果を上げている人は”必ずと言っていいほど頭に思い描いている”思考プロセスがあるので、備忘録的にも可視化したいと思います。

特に新規・既存関わらずエンタープライズ企業への営業をしていく人はぜひご一読ください。

ということで今回もどこかの誰かの”これ読んでおいて!”を実現するために10分くらいで読めるようにまとめてみました。よければお付き合いください!

お客様対面商談の移動中に読むとちょうどいいかも

エンタープライズ企業の特徴

まずは顧客規模で分けた際、営業を行う上でエンタープライズ企業とSMB企業の違いは何か?から簡単に抑えていきます。

”リードタイムが長い”、”提案金額が大きい”、”キーマンを抑えるのが重要”などなど。違いを挙げたらいくつか出てきます。
どれも正解です。また、この辺は色々な本やnoteで散々語られてきた内容かと思います。

そしてシンプルに、何故、上記のような違いが出てくるのかと言うと、

SMBと比較してエンタープライズ企業の場合は”関わる人(ステークホルダー)が圧倒的に多い”というのが違いを産んでいる大きな理由です。

規模が違うので当然、稟議フローも長ければ、キーマンがどこにいるのかわからない可能性も出てきます。


・・・では結局エンタープライズセールスで成果を上げる人は何が出来ているの?という話ですが、
結論、エンタープライズ営業が得意な人は必ずと言っていいほど”商談のストーリー構築力”と”リスク想定力”が高いです。

本題として今回は、この”商談のストーリー構築力”と”リスク想定力”が得意な人は頭の中でどういう絵を描いているのか?という点を可視化、言語化してみました。

”説明書”という形で順を追ってどういうプロセスを踏んでいるかをまとめています。

エンタープライズ営業が得意な方であれば当たり前の内容なんですがアンラーニング含めぜひご一読ください。

この思考プロセスを理解し、その上で”実行しきれているか””想定しきれているか”に差分が生まれ、結果的に、成果に差が生まれるということですが、具体的に解説して行こうと思います。

ストーリー構築とリスク想定

では実際に商談のストーリー構築とリスク想定を簡単に可視化する手順についてまとめます。
(慣れない内は実際に紙やホワイトボードに書いてプランニングするとスムーズです)

進め方としては以下の3つのステップに分かれます。

STEP① 1本のサクセスシナリオを描く
STEP② 想定される分岐リスクルートを考える
STEP③ 分岐ルートから①に戻す具体アクションを決める

それぞれ順を追って記載していきます。

STEP① 1本のサクセスシナリオを描く

まずは”1本のサクセスシナリオを描く”についてです。

このSTEPでは”現状”と”理想”をそれぞれ社内・社外の視点で書きます。

顧客を取り巻く社内外の現状の例を以下に記載します。

ー顧客を取り巻く現状ー
社内)自社のサービスを何も導入していない
社外)売上を作るための最適なマーケ手法が確立仕切っていない

この企業の従業員規模はXXX名で登場人物はマーケ課長のAさん。当社はXX月XX日に接点を持って初回商談の前である。

このように社内外の現状と合わせて”取得出来ている今の状態”を書き出します。

続いてこの顧客の社内外の理想の状態の例を以下に記載します。

ー顧客の理想の状態ー
社内)この企業に対してXXXというサービスが導入されている/契約更新する
社外)マーケ手法が確立して会社の売上が◯◯%成長する

このように社内外の理想を明記します。社外の理想は出来るだけこちらが描く理想ではなく、企業のミッションや事業計画に紐づいているものが良いです。

理想のサクセスシナリオをまず描くところから始める

ここで重要なのが、主語が”お客様視点”での理想を描けているか?という点です。ここで自社サービスの導入をすることやクロスセルをすることだけが目的になっている営業は大体うまくいきません。

このサクセスシナリオが描けた段階で最後にいつ実現するか(日付)を決めます。これでまずSTEP①が完了します。

STEP②想定される分岐リスクルートを考える

当然、超理想で描いているので、そうならないのが実態です。

そもそも自社に興味を持ってくれない重要性が上がらずに未決で終わる担当者が上申してくれない競合が参入してきてコンペになる他社サービスの方が良くて他社に決まる、などなど。

このSTEP②としては”1%の可能性も含めて考えうるあらゆる分岐リスクルート”を時系列順に書き起こします。

ここで重要なのが、サクセスシナリオから外れるルートがどれだけ網羅できているかがポイントになります。

細かいリスクを想定しきれるかが重要

わかりやすい分岐ルート以外の一例を以下に挙げます。

・目の前の担当者が組織再編で異動になり連絡が取れなくなる
・急な体調不良で申込書の押印をすることが出来なくなる
・社長がトップダウンで関係性のある知人の会社に見積もりを取る

など。”意思決定者の基準とズレていて検討ストップ”といった大枠のリスクだけでなく、細かいリスクを想定できるかどうかが重要です。

とにかくネガティブに1%でも可能性があるものを洗い出すことが重要です。

成果の明暗を分けるのはここで”各論を楽観的”に見てしまうことです。

「大丈夫です!この案件は100%行けます!」という営業ほど上司からすると不安になると思います。

最初のうちは1人で全部想定し切るのは難しいので、自分で洗い出した後に、「他にもどういうリスク想定がありますか?」と上司やハイパフォーマーに聞きましょう

自分のリスクの想定を増やせれば増やせるほど洗い出しが細かくできるので、1人でやらないことが重要です。

STEP③ 分岐ルートから①に戻す具体アクションを決める

最後に”分岐ルートから①に戻す具体アクションを決める”ですがこのアクションを期限までに実行しきれるかどうかが成果を分けます。

例えば”体調不良で連絡を取れないというリスク”を想定したら何が必要でしょうか。

これは”連絡がつくように複数の人と接点をとる”ことも必要でしょうし”直通の連絡先を入手しておくこと”も1つです。

他社に決まるリスクを想定をした上では何が必要でしょうか。優先順位を上げるためには何を考えておくべきでしょうか。などなど。これを決めます。

事前にシナリオに戻すアクションを決めておく

大事なのは”成功シナリオに戻すこと”です。

具体的なアクションとして、自分以外の人に話してもらうことも手段ですし、本来は2回目の商談で伝えるべき内容を初回の商談で伝えた方がいいかもしれません。

またこのような先回りができている人は大抵外しません

新規既存関わらずエンタープライズ営業として成果を上げている人は、サクセスシナリオを描き、リスクを想定して先回りしたアクションができている人です。

文字にすると”当たり前”ですが、トップセールスの話を聞いていると、この当たり前を感覚的に頭に思い描けている人がめちゃくちゃ多いです。

最終的にどういうものが出来るのか?”実際の外部研修時にお伝えした一例を共有させていただくと以下のような形”になります。
(ちょっとマスキング面倒だったので画像を荒くしてます。流れなどの雰囲気をつかんでもらえますと幸いです。)

実際のある企業の取引金額拡大に向けたアカウントプランニング

特に長期での顧客開拓時にはこの流れを実際にはMiroや紙に書いて実行しています。(これがいわゆる簡単なアカウントプランニング)になります。

エンタープライズで成果を挙げている営業の頭の中では、共通してこの”分岐ルート”に対する”先回りした解決策”をいくつも用意して商談に臨んでいる人が多いです。

「XXXとお客様から言われたらどうしよう」「XXXのパターンが来たら困るから事前に資料を用意しておこう」など、頭の中で”悲観した思考実験”を繰り返しています。

この思考実験に対する解答をすぐに用意できるからこそ、お客様からしてみると「この人と一緒なら課題を解決できそう」と思ってくれるということですね。

上手くいかないケースの紹介

この考え方でやっていると2つのパターンを除いてほぼ確実に目標とする成果を出せます。上手くいかないケースは以下です。

NGケース❶:リスク想定が甘かった
悲観的に考えきれず1%のリスクを引いてしまったパターンです。
「急に社長がトップダウンで決めちゃいました」とか。

そういう1%のリスク想定を考えきれていないケースです。

NGケース❷:計画通り実行出来なかった
当然ですがシナリオを描いて動いてないは本末転倒ですよね。
想定して動こうと思っていたけどお客様に連絡できてませんでした。は意味ないです。

結局どこまで行っても実行できなければ設計や計画なんて意味を持ちません

またこのシナリオはどんどん企業の状況や市場、会社の状況によって変わっていきます。動きながら計画を修正して、実行していくを繰り返す必要があります。

さいごに

わかる人には当たり前の考え方ではありますが、この思考プロセスを描けるかどうかによって成果も大きく変わっていきます。

接点頻度、パイプライン量が重要なSMB営業でも基本的な考え方として重要ですが、特に顧客の構造を理解して動かさなければいけない(動いてもらわなければいけない)のがエンタープライズ営業の難しいところであり楽しいところです。

より具体的なリスク(Salesforceや大手企業でも実践している内容)の想定の仕方や顧客の例を交えた描き方、どう組織に落とし込んでいくのかなどご興味がある方はぜひお声かけください。

今回はエンタープライズ営業に共通する思考プロセスでした!
ということで今までお世話になった人に向けての気づきの機会提供です。

(noteを書き始めた背景、経緯はこちらです。)

また会話してみたいという方、定期的に弊社カンリーでも社内イベントを実施しておりますので良ければお越しください!それでは引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

※以下は5月中の期間限定ですがYOU TRUSTの面談URLです!
林と話してみたい方!よければこちらからもぜひ!


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