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短歌のようなことば

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5・7・5・7・7調を愛す、百人一首好きなわたしのいちぶ。
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かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
(アナグラム詩)

かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを (アナグラム詩)

ものさしはひとさえもしやにかく
くさきをたおるしももしらないふゆ

物差しは人さえも視野に描く
草木を手折る霜も知らない冬

しらゆきもふとやさしいはなをたおる
しのひくもにえかくさもしさ

白雪も、ふと優しい花を手折る
忍び、雲に描く、さもしさ

ふたつ作ってみましたが、類似が見られますね。どうしても「手折る」から逃れられなかったことが明白です。「る」ってしりとりでも断然難しいので、動詞にしたか

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わたしの中の宇宙

わたしの中の宇宙

夜闇に被布を纏いし稚児がおり紅い鼻緒がちりんと鳴った

地球という花台に活けた花たちは七割海の小島となりて

完璧な満月なんてないことを月を縁どる地球の影に

春雷に打ち捨てられたタンポポの茎から飛べぬ球体の庭

グングンと空を切り裂く飛行機のほつれた糸で纏り縫いする

わたくしの名を懐かしく呼んでいる黄昏時は黄泉の入り口

ビー玉と炭酸水の泡くぐりアンモナイトが闊歩する午

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【冬の陽は長くさす】

【冬の陽は長くさす】

冬の角度は鋭角で心の奥にまで差し込む

きづかないうちについたきずや到底消えるはずのないと思われたきずも

光をすべて集めれば白になり、まっさらなキャンパスで

自分の色筆をおいてゆける

傷口の中にも宇宙(そら)はあるのかと覗き込むから傷が広がる

冬の陽よここまでおいで部屋の隅あの子のなみだ膝を抱えて

なにもかも夢のにおひに墜ちる時わたしはいない地球の中に

名も知れぬ

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