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【読書ノート】『自転しながら公転する』

『自転しながら公転する』
山本文緒著


中卒フリーターで元寿司職人の貫一と高卒でアパレルブランドショップの契約社員の都の出逢い、別れ、再会の物語。

・自転しながら公転するということはどういうことか?
個人や社会が常に変化し続けるということ。自転は個人の内面的な変化や成長を指し示し、公転は社会や環境の中での関係や立場の変化を示している。

この概念は、個人の発展や社会の変革に関連する哲学的なテーマと結びついている。個人が自己啓発や学びの過程で変化し続けることによって、より豊かな経験や洞察を得る。また、社会や環境も常に変化しており、それに適応しながら成長することが求められるということ。

さらに、自転しながら公転することは、個人のアイデンティティや存在意義に関する考え方にも関連する。個人は一つの中心点にとどまらず、多様な関係や状況の中で存在し続けることで、より充実した人生を送る。

いまの社会で遭遇する色々な問題が、ポイントポイントに散りばめられている。
まあ、多様性・ダイバーシティが大事だと言われて久しい社会ではあるのだけれど、現実は、学歴による差別、男女差別は横行している。一番大きな問題は、生き方そのものに対しても、普通でいることが求められているということなのだろう。

主人公の都は、自身も高卒で、契約社員の身であることから、様々な形で差別を受けて来た側の人間だ。そんな都は、読書家で行動力のある貫一が、中卒のフリーターであることを知ると、やはり、怯んでしまう。

物語の主題は何か?
ひとの生き方に、普通というものは無いということなのだと理解した。それぞれの人が遭遇する日々の課題への取り組む姿勢というものを俯瞰してみたとき、一段上の社会、国、世界の中の一部の役割を担って宇宙全体が廻っている。

登場人物の行動が、一様に中途半端で、煮え切らない場面が多いので、物語としては、しっくりこないのだけど、むしろそれが現実的なのかもしれないと思った。

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