見出し画像

【メンバーからの寄稿:11月26日『タウンミーティング』】 「市民革命」の萌芽を感じました


「所沢市民が手をつなぐ会」のnoteでは、地域の市民活動の告知や報告をはじめ、市政や市議会の動きについてのメンバーの寄稿も掲載します。
今回は、10月の市長選で誕生した小野塚新市長が開催した初回の『タウンミーティング』に参加した岡本耕次(所沢市民が手をつなぐ会代表)の感想です。


● タウンミーティング ●
〈場所〉市庁舎8階 大会議室
〈日時〉2023年11月26日(日)10時〜12時
所沢市議会のホームページの該当ページはこちら

11月26日に開催された、小野塚新市長が公約として掲げた「市長タウンミーティング」に参加しました。
テーマは「子育て」
選挙戦の大きな争点の一つだった「育休退園制度」(※保護者が第2子のために育休を取ると、上の子が強制的に保育園を退園させられる制度)については、新市長は就任早々の10月30日に廃止を発表しており、今後の変革に大きな期待を抱く市民が多いテーマです。

開始35分前、だいぶ早く着いたつもりでしたが、市庁舎の大きな会議室は既に6割方の席が埋まっており、最終的には二百人以上が参加されたと報道されており、関心の高さがうかがわれます。

市長の挨拶のあと、さっそく意見交換になりました。会場一面に一斉に手が上がり、発言希望者の多さにまず驚かされます。
ある発言者は「自分と妻は同じ保育士として働いているが、東京で勤務する妻の方が50万円も年間所得が多い。保育士の確保は財源的にも大変な問題だ」と指摘。また、不登校のお子さんを抱えるお母さんからは、「学校教育の問題を社会の問題として考えてほしい。そうした子どもたちのために、安心できる居場所を与えてほしい」など、切実な要望の数々が出されました。

お一人お一人、自身のおかれている様々な問題・現実の生活に根差した課題について、率直に自らの言葉で語る姿に、感動すら覚えました。予め書面に書いてきて読み上げる方もおられました。
発言の場さえ与えられれば、自身の思いを語る人がこんなにも多くいるとは。「市政」というものが、これほど一人ひとりの切実な生活に密接に関わっているものなのか、そんな思いを改めて抱きました。

「タウンミーティング」で思い起こされるのは、十九世紀、フランスの若き貴族、トクヴィルが「果たして、アメリカという大きな国が貴族抜きで、民主的な共和国維持が可能か」という問題意識をもってアメリカを訪問し、のちに書かれたた『アメリカのデモクラシー』という書物です。当時の常識では「共和国」は小国にしか向いておらず、大国では「君主制」の方がふさわしいと考えられていました。

『トクヴィルはジャクソン大統領を高く評価したことはありませんでしたが、彼を大統領に押し上げた大きな力があることに気づきます。さらにトクヴィルは、東部ニューイングランドのタウンシップと呼ばれる基礎自治体を見て回ります。連邦議会の政治家の水準にはいささか失望気味であったトクヴィルですが、タウンシップで出会った、名もなき人々の声には驚かされます。いずれの市民も地域の諸問題をよく理解し、政治的な見識という点でも見るべきものがあります。トクヴィルはこの時にはじめて民主主義の力をみいだしたのです。その原動力にあるのは自治であり、人々は自らの問題を自らの事として捉え、それ故に強い関心をもっています。政府の力が弱い分、学校、道路、病院などについても、自分たちの力でお金を集め、あるいはそのための結社(アソシエーション)を設立していく姿にトクヴィルは民主主義の可能性をみいだしたのです。』

『民主主義とは何か』宇野重規著より

今回、私たちは自分たちの市政を取り戻そうと市長選を闘い、実現させました。これは、2022年の杉並区長選や今年の立川市長選の成果につながる大きな潮流を受け継ぎ、実現できたものと考えています。

特に杉並の岸本聡子区長が提唱している「ミュニシパリズム」の考えは、私たちも大いに参考にすべきだと思います。

『地域に根付いた自治的な民主主義や合意形成を重視し、地域の構成要素を「コモン」としてとらえ、市民の政治・政策策定への直接参加を強め、すべてのものを企業の儲けの道具に差し出そうとする流れ(自由主義)を断ち切って、市民のために地域を維持・発展させていこうとする取り組みです。

『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宜弘著より

今回出された様々な発言・課題に、いかに共感し、共鳴し、「我がこと」として取り組んでいけるのか。私たち自身も問われているように感じます。
私にとって初のタウンミーティングは、間違いなく「市民革命」ではないかと思われるものでした。
(寄稿:岡本耕次)

【 今回のタウンミーティングに関する報道まとめ】
● 毎日新聞 2023/11/27 地方版
子育て支援充実を 所沢市長に住民訴え

● 東京新聞 2023/11/27
給食費、来年1月無償化 所沢市長、対話集会で表明 10月から18歳までの医療費も

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?