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詩集C(30代以降の作品群)

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社会派ミステリー小説、PHASEシリーズの著者 悠冴紀が、30代から現在にかけて書いた最新の詩作品を、このマガジン内で無料公開していきます。 なお、作品の下に、一見解説文のよ… もっと読む
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2020年1月の記事一覧

詩 『ZERO ~終わりの始まり』

詩 『ZERO ~終わりの始まり』

作:悠冴紀

雪が降り積もる
枝から舞い落ちた枯れ葉の上に
すべてを無に返す 白い雪が

この終わりは
旅の始まり
束の間の平穏に中断された
忘れかけていた歩みの再開

遠くへ行くよ
本来の私に相応しい彼方
どこでもない枠組みの外側へ

築き上げたものを 自ら打ち壊し
あるべき道のため 初期化する

そうして何度も 再生してきた

接した人々の瞳の中で
私の背中が消えていく

白く不透明な霧の彼方

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詩 『オーロラの宿る場所 』

詩 『オーロラの宿る場所 』

作:悠冴紀

傷を秘めてきた君に
贈りたいものがある

心の一端を見せてくれたお礼に
オーロラを贈ろう

そう、夜の終わりを告げる
あの謎めいた曙の光だ

虹ほど馴染みやすくはないけれど
恐れる必要は少しもない

あれは空の贈り物
そして夜を耐えた者の中に
色彩豊かに宿るもの

冬が過ぎても 見ることはできる
君が自身の力を信じ
心の空を照らし出せば

私は彩り方を教えよう
言葉ではなく 在り方で

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詩 『傍観者』

詩 『傍観者』

作:悠冴紀

木々がざわめき
雲が不安定に闇夜を漂う

試されているのは
君か? 私か?

この闘いに 敵はいない
明確な目標になるような 人間の敵は

実体のない幽霊を相手にしているかのよう

ある日突然襲い掛かり
姿も見せずに蝕んでいく

数えて何度目の試練だろう
これまでで一番危うい気がする
明日を脅かす類いのやつだ

いつかのように
知恵を絞って策を講じることも
技を磨いて力を身に付けるこ

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