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詩集B(20代の頃に書いた作品群)

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社会派ミステリー小説、PHASEシリーズの著者 悠冴紀が、大学時代から20代の終わり頃にかけて書いた(今へと繋がるターニングポイントに当たる)詩作品の数々を、このマガジン内で無料… もっと読む
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2019年8月の記事一覧

詩『それでも我等は・・・・・・』

作:悠冴紀 我等は多くの主張を生み出し 多くの主張の亡骸を見る それでも我等は生きている それでも我等は生きていく 我等は何かを求めて闘って 求めた何かに裏切られる それでも我等は生きている それでも我等は生きていく 怒りと嘆き 絶望と虚脱 それでも我等は生きている 薄れゆく記憶の上に 新たな主張を貼り付けて それでも我等は生きていく 甘い期待を撃ち砕いた現実の弾痕に 間に合わせの土を塗り込めて 我等は尚、生き続ける *********** ※1999

詩『クラゲ』

作:悠冴紀 何も無い 涙が止まった 要らない感情が尽きたらしい ただ生きている 宇宙の底で 揺らめいている クラゲみたいに すべて終わった ああしよう こうしよう という意志さえ 今はもう見当たらない ああなるまい こうなるまい と突っ撥ねていたことさえ 今はもう どうでもいい 尽き果ててしまった 何も無い これから どうしようか なんとなく笑ってみた 喜びも悲しみも無い身体で なんとなく空を眺めてみた なんとなく気持ち良かった 泳いでいる 大気の底で