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詩集B(20代の頃に書いた作品群)

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社会派ミステリー小説、PHASEシリーズの著者 悠冴紀が、大学時代から20代の終わり頃にかけて書いた(今へと繋がるターニングポイントに当たる)詩作品の数々を、このマガジン内で無料… もっと読む
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2021年1月の記事一覧

詩 『炎』

作:悠冴紀 炎よ 燃えろ 焼き尽くせ この魂を 躊躇は要らぬ 我が身は燃ゆるべくして在るもの 炎よ 燃え上がれ 空を目指して黒煙を上げ 私の全てを焼き尽くせ 私は恐れぬ 私は拒まぬ 自ら踏み入り燃え尽きよう 炎よ さあ 焼き尽くせ 明日はないものと力の限り 私の望みは永遠にあらず 凝縮された瞬間の炎 だからさあ 炎よ 燃え上がれ 全身全霊で迎え受けよう そうして生み出される紅い光のために この身は消耗品として在るものだ 無

詩 『カナダの冬』 (二十代前半の作品)

作:悠冴紀 深まっていく大空に カナダの様子を重ね見る ナイアガラ・オン・ザ・レイクの 白い小さな教会 ボウ川の水面 牧草地を流れる風 一人旅に出かけたい カナダの冬は どんなだろう バンフの町に積もる雪 ロブソン通りに灯る明かり コートの襟を立て 行き交う人々 親友たちと一緒に 眺めたい 暖かくなっていく地球上 底冷えの冬を忘れない国 凍りついても構わない あそこでなら 眠りたい あの国で *********** ※1999年(当時22歳)のときの作品

詩 『遥かカナダに想いを馳せて』

作:悠冴紀 帰りたい あの場所へ すべてを置き捨てて 帰りたい エメラルドグリーンの湖と 歴史を物語る鮮やかな地層 透明な風と 深緑の針葉樹 生まれて初めて 憎しみを忘れた 生まれて初めて 疑いを忘れた 帰りたい カナダへ 人間が綺麗に生きられる場所など 存在しないと思っていた 浄化などさせられたら 私そのものが消えてしまうと思っていた 帰る場所など要らない そう思っていた 私は一度終わった だから始められる あの地を原点に 帰りたい あの場所へ 葡萄