マガジンのカバー画像

詩集B(20代の頃に書いた作品群)

32
社会派ミステリー小説、PHASEシリーズの著者 悠冴紀が、大学時代から20代の終わり頃にかけて書いた(今へと繋がるターニングポイントに当たる)詩作品の数々を、このマガジン内で無料… もっと読む
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

詩 『シベリアの狼』(⚠️解説部分後半には一部闇描写あり)

作:悠冴紀 君と二人で築いた長城を 汚されることのない記憶が流れていく 私の雪は君のために舞っていたことを 君は知っていたか 私の河は君のために流れていたことを 君は知っていたか 私は孤独が怖くなかった 私は寒さが心地好かった 人々がことごとく去った後の 廃屋に棲みついた狼のように 私は飄々と暮らしていた 私はシベリアの狼だった 無人の廃屋に好んで独り 孤独も寒さも平気だった 心にいつも君がいたから 永遠に共にあると信じていたから 私はシベリアの狼だった ─