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詩集B(20代の頃に書いた作品群)

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社会派ミステリー小説、PHASEシリーズの著者 悠冴紀が、大学時代から20代の終わり頃にかけて書いた(今へと繋がるターニングポイントに当たる)詩作品の数々を、このマガジン内で無料… もっと読む
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2022年7月の記事一覧

詩『ヒグラシ幻想曲』

作:悠冴紀 さざめく草木に誘われ ヒグラシが奏でる不思議なメロディー 聖徳太子も聴いていた 夏の夜の幻想曲 暗闇に天井が溶け出し 満天の星空が視界に開ける モノトーンの部屋から コバルトブルーの宇宙へ 重力に縛られた身体から抜け出し わたしは毎夜旅に出掛ける 銀河の泡を掻き分け 宇宙のヒモを探し歩く 今日こそは見つけられるだろうか 卑弥呼が見たかもしれない宇宙のヒモを 明日こそは証明できるだろうか 思考の迷宮に陥ってしまったあの友たちから 恐れを拭い去るかもし

詩 『 JANUS 』 (二十代後半のときの作品) 注:闇描写です🙇

作:悠冴紀 許せないのに 想っている 恨みながら 感謝している 突き放しながら 案じている 男でも女でもない 架空の生き物のような 恋心も持たない 乾いた人間だった私には 君との繋がりが 神聖だった あまりにも 私の人格は 二つに分裂してしまった 君が私を引き裂いた 信じていないのに 受け入れている 失望したはずなのに 敬っている 背を向けながら 見守っている 君は私に全てを与え やがて私から全てを奪った 私の魂は黄泉に落ち 自らの血にまみれて這いずり