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詩 『壊れた人々 ~傷だらけの世界で』

作:悠冴紀

大地に砕けた鋭い硝子片
辺りに潜む無数の地雷

傷を負わされた人間は
その内側に凶器を育む

哀しいかな
過去の被害者こそ未來の加害者

周りのすべてを巻き込んで
新たな壊れ者を生み出していく

同病相憐れみなど
一時凌ぎの幻想だ

壊れ者同士で更に壊し合っては
足を引っ張り合うだけの末路

立場の近い似た者同士の接触は
更に危うい火種となる

僅かに食い違う価値観は
激しい怒りと憎悪の対象

共通点なき相手よりも
甘えと期待の分だけ泥沼化する

身の安全を脅かす最悪の嗜虐しぎゃく者は
往々にして背景事情の近い相手

他人の中に見る認めたくない自分像には
存在さえも許せない心理

同じ辛酸をなめた者同士でも
真の仲間にはなり得ない


傷だらけの世界
壮絶な孤独を背負った残忍な硝子片

不可視な刃物で切り刻まれて
自覚なき壊れ者たちで溢れていく

今も昔も
人の世は狂気だ

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※2022年6月現在の作品。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、私の作品を一部でも引用・転載する場合は、「詩『壊れた人々〜傷だらけの世界で(悠冴紀作)』より」と明記するか、リンクを貼るなどして、著作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように配信・公開するのは、著作権の侵害に当たります!!

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