石の歌う森(第5回)~星は風にそよぐ イシアス篇~
「で、セシルは旨いものを求めて、森に入るってわけだな」
ロータシアで過ごした2年半のことをひと通り話し終え、目下直面している問題を語ったセシルに父が言った。
「まあ、そうとも言えるね」
そうセシルが応じると、父と母は顔を見合わせて笑った。
「あっ、そうだ!」
セシルが言った。
「ロータシアで書いた日記があるよ。ステファニー先生に言われて、リリーアイランドを出てから書き始めたの。コンサートの頃までしか書いてないんだけど」
「えっ! それ読みたい!」
父が興奮して立ち上がったので