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考察:藤子・F・不二雄 SF短編集

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藤子先生の裏芸でもあるSF短編集を鋭く解説していきます。
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記事一覧

正義の少年ではなく、事なかれ主義の老人が『鉄人をひろったよ』/巨大ロボット大暴れ…

藤子作品では、超初期の頃からロボットが登場する。例えば、単行本デビュー作となった「UTOPIA…

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悪魔に悪魔と叫ばれた男。『メフィスト惨歌』/ちょっぴりホラーな物語⑧

「ちょっぴりホラーな物語」と題して、ホラーテイストで描かれた藤子F作品を調べているが、今…

藤子Fノート
2か月前
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読後の身震いが止まらない!『アチタがみえる』/ちょっぴりホラーな物語②

つのだじろう先生の「恐怖新聞」という漫画がある。僕は持っていなかったのだけど、友人のお兄…

藤子Fノート
2か月前
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【ラインナップ確定!】藤子・F・不二雄SF短編集ドラマ・シーズン2

昨年(2023年)春に藤子F先生のSF短編集が全10作品ドラマ化され大好評を博しましたが、本年…

藤子Fノート
3か月前
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親子が相互理解するためには『親子とりかえばや』/藤子F「とりかへばや」物語 ⑤

12月は藤子・F・不二雄先生の誕生月だが、僕の息子の誕生月でもある。何とも羨ましい限りであ…

藤子Fノート
5か月前
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通勤時間は3億年とちょっと『マイホーム』/夢のマイホーム⑤

「夢のマイホーム」と題して、憧れの我が家を求める藤子キャラたちを紹介してきた。 ところが…

藤子Fノート
7か月前
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30年間働き続けた夢の結末『3万3千平米』/夢のマイホーム②

田舎では一軒家が当たり前だったが、都会に出るとそうはいかない。そもそも土地が少ないのに、人口が多いわけで、一人当たりの土地が不十分な訳だから、その値段だって高騰して当然である。 よって、都心で働く人々は、代々の土地持ち以外は、最初に賃貸住まいをして、どこかのタイミングでどこかの土地だったり、マンションを買ったりする。 しかし、収入と不動産の立地との兼ね合いが非常に難しく、自分の収入に見合った土地を探すとなると、どんどん中心から離れた場所を選ばざるを得なくなる。 かと言っ

6000字超!リーダーシップと独裁の狭間で『宇宙船製造法』/独裁について考える②

今回は仕事におけるリーダーシップと独裁について考察を巡らしてみたい。 ひとえにリーダーシ…

藤子Fノート
10か月前
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27年前のオレを止められるか?『あのバカは荒野をめざす』/タイムマシンで大騒ぎ⑮

若気の至り。 正直、慎重派だった僕は、若気の至りと呼べるような経験をしたことがない。予測…

藤子Fノート
10か月前
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自分のことを知っているからこそ、信用できないのだ『昨日のオレは今日の敵』/藤子F…

子供の頃から多元宇宙論(マルチバース)が好きだった。科学雑誌Newton(ニュートン)の時間特…

藤子Fノート
11か月前
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マルチバースの自分たち、全員集合!!『パラレル同窓会』/藤子Fマルチバース短編集…

本年度アカデミー賞において、作品賞を始め主要7部門を獲得した作品「エブリシング・エブリウ…

藤子Fノート
11か月前
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必要なのは、もう一人の自分ではなかったのだ『ふたりぼっち』/藤子Fマルチバース短…

もし仮にパラレルワールドが実在したとして、もう一人の自分と出会ったとする。どの時点で分岐…

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常識のストッパーが外れた自分。『ぼくの悪行』/藤子Fマルチバース短編集②

別の世界。別の自分。別の人生。 僕たちはたった一つの人生を歩み続けているが、もしかしたら…

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もしも別の彼女と結婚していたら?王道マルチバース『分岐点』/藤子Fマルチバース短編集①

世の中いつの間にか「マルチバース」なる用語が一般化し、本年度のアメリカアカデミー賞でもマルチバースをテーマとした「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が主要部門を独占する「異常事態」が起きた。 ここで「異常事態」という言葉を選んだのは、マルチバースといういわば何でもありの概念を使った作品が、少なからずメッセージ性・ドラマ性を必要とする米アカデミー作品賞を受賞するというような時代が来たことに大変驚いたからである。 「マルチバース」は映画などの物語の中で最近良