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今夜は麻婆茄子

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ただただエッセイ。タイトルはライター志望だったころのブログ名です
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かっこいい眉毛

かっこいい眉毛

「かっこいい眉毛」
と聞いて、どんなかたちを思い浮かべるだろうか。

私の中では眉毛とは、長らく克服できずに生きてきた相手であり、「眉毛がかっこいい人」とは、いわゆるイケてるグループのモテるひと、平成の細眉を地で行く人のことである。(世代を感じるね)

「眉毛かっこよくなったじゃんどうしたの?笑」という小ネタは、一つ違いの妹との皮肉混じりの褒め言葉であり、昔付き合っていたひとに「そんなにおしゃれに

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日々①

日々①

なんでもないことはすぐに忘れてしまう。

とはいえ、一つひとつのささいな出来事は栄養のように、時にはちょっとした毒のように日々に蓄積されていって、心身の肥やしになったり、免疫になったりする。

わかっているのに、記録しておくことは結構億劫で、それなりに辛いこともある。その時は。

だけど、のちのち振り返ると「あの時の私にこんな感性や考え方があったのか」と安心したり、それが誰かに届いたりしたら、「や

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私には「ままならないもの」が必要だった

私には「ままならないもの」が必要だった

こんにちは。連休なので猫の話をします。

今、私の家には推定年齢3〜8歳という、謎多き雌猫の「このは」がいる。茶色いから「木の葉」なのかな。ボランティアさんがつけた名前なので、由来は不明。

ややこしいのだけど、このはは私の飼い猫じゃない。

大人になってから路上で保護されて、最近までシェルターにいた猫で、私は「預りさん」と呼ばれる、保護猫に里親が見つかるまで、家猫として慣れさせる役割。

そう説

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下町の花屋へ

下町の花屋へ

友達に薦めてもらった大好きな『蝶々喃々』という小説に

下町の軒先はおおらかで、ひしめき合う民家は各々に鉢植えを並べ、多少はみ出しても許し合っている

みたいな描写があるのだけど、いまの私の暮らす地域もそんなかんじなのです。

植物は好きだから観葉植物や切り花は日常なのだけど、いかんせん軒先ガーデニングはレベルが高そうだ。

「あれをやったらいよいよだぞ」という、最後の砦感がある。

だけど、この

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住む。

住む。

数週間前に買った花たちが枯れてしまった。
その子たちを土に還させてもらうまでが一連のしごとなので、朝もはよからぱちんぱちんと小さく切り刻む。茎は5ミリほどの長さに、花びらは一枚ずつに。

いつも、この動作をしていると「申し訳ないなぁ」と思う。ひっそりと解体し、遺棄しているようなものだ。

そして、岡倉天心の『茶の本』にあるこの一節を思い出す。

星の涙のしたたりのやさしい花よ、園に立って、

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狡猾なエッセイ

狡猾なエッセイ

好奇心で体重計に乗ってから、小さく後悔をした。

昨日一昨日と家族と過ごしてごちそうを食べ、ハメを外してきたこともあり、デジタルの画面は近ごろ見ていなかった数値をたたきだしている。

体重の推移を記録しているスマホアプリにデータが残らないようにし、キッチンに残っていた烏龍茶をペットボトルからそのまま飲んで、今日はそういう日だ、とノコノコと2階の自室に戻る。

気が済むまで布団で暮らそう

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2019年の振り返り

2019年の振り返り

こんにちは。いつもありがとうございます。

今年もこうして振り返りができることがうれしいな。一年のうちでいちばん、個人的なことを綴る大切なnoteです。

おかげさまで幸せな2019年でした。

例年なら今頃は、肌身離さず持ち歩くことにしてる手帳を買い替える時期なんだけど、この一年に起きたあれこれが大切すぎて「まだ新しくしたくない」なんて内心ゴネています。こんなことは初めてで、改めて今年の濃度に驚

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クリスマス・キャロル

クリスマス・キャロル

毎年この時期になると、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を手にとってしまう。

それはまるで条件反射で、読んでいないとクリスマスを平和に迎えられないと本能が訴えているようなかんじ。

たぶんきっとイギリス文学を専攻していた大学生のころからなんだけど、でも、何年生のときだったか思い出せないし、もしかしたらもっと前だったかも。



そんなに長い物語ではないので、まだ読んだことがない人

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11月18日、逃げ場

11月18日、逃げ場

今朝「はっ、忙しい」と思って目が覚めた。
これはめちゃめちゃ珍しいこと。
どきどきしてきた。

良くも悪くも元来マイペースなわたしがこれを思うのは危険信号、ということでひとまず濃いココアを作って飲んでみた。

あとこういうときに「大丈夫!」って言い続けることがいちばん危険なこともなんとなく学んだので、どこかに吐露してみようとした。誰かにLINE?電話?Twitter?インスタ?違うなぁnoteだっ

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マイ・ラブのはなし

マイ・ラブのはなし

「マイ・ラブ」という言葉にさいきんこっそりハマっている。

『シェイクスピア物語』にある『真夏の夜の夢』では
"My sweet love,"と書いて”あなた”と訳したり、

母親が子どもに”Good Night, my love.”で”おやすみ”だったりする。

要するに、特別に親しみを抱いている相手のことを指すことばが「マイ・ラブ」なのだ。かわいい。

ふと大切な友達や家族を思い出すとき、「マ

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5月7日 出勤

5月7日 出勤

午前8時、祐天寺駅まで歩く途中にいつも突っ切る公園の土の地面にハイヒールが突き刺さる。

ここのところペタンコな靴ばっかり履いていたから、今日はしゃんと8センチヒールにした。大事なランチもあるし。



これから一緒に出勤するらしい同い年くらいの男女が微妙な距離感で並んで歩いてる。あれは「順序を間違ってしまった系」だなきっと。
前髪をしきりに気にしている彼の方はきっとちょっとかっこつけっぽい。

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5月1日 近所のシリアル屋さん

5月1日 近所のシリアル屋さん

はろー5月。
いい気分だから日記でも書こうかしらと思ったら令和初日ってことで、なんだか記念投稿みたいになってしまってちょっと癪だったりする。

とりとめのない日記なのになんかの決意みたいだ。言っちゃ悪いけどなにもない。これから実家に帰省するだけである

今日もいいてんき。
近所のシリアル屋さんで妹に餞別でも買って帰ってあげようと思ったのに、みごとにわすれた。

ところでシリアル屋さんなんて商売は、

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