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世界で一番古い動物園はロンドン、日本では上野

 動物園の起源は古代エジプトをはじめとする各国の王侯貴族の娯楽や権利の象徴として個人庭園で動物をコレクションしていたことだそうだ。一般市民にも開かれた最古の動物園は、オーストリアのシェーンブルン動物園で、初めは王侯貴族の娯楽だったが、1765年に市民に公開されるようになった。また、フランス革命後のパリ動物園も一般公開の始まりだといわれている。

 王侯貴族のコレクションを起源に持たない近代動物園の一歩目は、1828年に開設したイギリスのロンドン動物園だった。世界各地から動物を収集し、動物学を発展させることが目的だったそうだ。


 日本で初めて動物園の原型となるものが登場したのは、江戸時代だといわれている。まだ「動物園」と呼べる現在のような施設はなかったが、主に孔雀茶屋や花鳥茶屋、鹿茶屋などと呼ばれる当時の飲食店で、美しい鳥や珍しい動物が見世物として飼われていた。このころはあくまで飲食店の宣伝目的のために動物が飼育されていおり、庶民が動物を見て楽しむ展示施設の原型になったと考えられる。

 そして、1866(慶応2)年に福沢諭吉の著書「西洋事情」によって西欧の施設や制度が紹介され、その中で「動物園」という単語が初めて用いられた。福沢諭吉によって代的な概念が広まったのです。一方、日本で初めて動物園の概念を提唱したのは福沢諭吉で、欧米の万博博覧会で得た知識を紹介する著書の中で「動物園」と日本語訳している。


 1882(明治15)年には日本初の上野動物園が建設される。その後京都、大阪、名古屋など各地で動物園が誕生する。戦後も情操教育かつ平和外交の象徴として動物園の充実化が図られ、現在のような個性が光る動物園が次々と開設されていったのだ。

 戦後に入り老若男女から愛されるようになった動物園だが、この頃に「日本人は人生で4回動物園に行く」という言葉が生まれたそうだ。1回目は親に連れられて、2回目は幼稚園や学校の遠足、3回目は親になって我が子と、4回目は祖父母として孫を連れて行く、というものだ。現代では大人だけでも楽しめる動物園が増えたが、当時の動物園は子どもが主役。このような言葉で表現されるくらい、人生と動物園の距離が近かったことが伺える。

 現代では動物園を英語で言うと「zoo」だが、これは「zoological garden」の略であり、直訳すると「動物学的庭園」となる。つまり動物学の発展を目的とした1828年のロンドン動物園以降に開園した動物園が「zoo」に該当する。それより前の動物園は見世物的な動物展示施設の意味を持つ「メナジェリー(menagerie)」と呼ばれていたそうだ。

 ちなみに、「世界一」の動物園をいくつか挙げてみたい。

■ 世界一危険な動物園 ルハン動物園(アルゼンチン)
 成体のトラやライオンなど獣と直接触れ合え、写真撮影もできることからこの異名が付けられた。。実は日本にも完全自己責任の誓約書にサインをしないと入場できないエリアがある、ノースサファリサッポロという動物園が存在するそうだ。

■ 世界最大規模の動物園 サンディエゴ動物園(アメリカ)
 敷地面積は東京ドームの約8倍。約800種、約4千頭の動物が暮らしている。因みに入場料は日本円(大人)で約1万円。入場料が高い動物園1位でもあるかもしれない。

■ 世界一美しい動物園 シンガポール動物園
 王宮跡地を使用するなど世界各国で美しい動物園が数多く存在するが、シンガポール動物園は鮮やかな植物が彩る熱帯雨林に覆われた園内が特徴。檻や柵を用いない展示方式を採用しており、動物が自然の中で悠然と活動している姿を見られるそうだ。

 かつて、ニューヨークのブロンクス動物園には「世界で最も危険な動物」が展示されていた。その動物の説明にはこう書かれていた。

「あなたは世界で最も危険な動物を見ています。これまでに生きたすべての動物のそれだけで、動物の種全体を根絶することができます。今では、地球上のすべての生命を一掃する力があります。24時間ごとに19万匹の割合で増えているこの動物は、他の動物を絶滅させたことのある唯一の動物です。」

 実は、その動物の檻の中には鏡に映る自分が展示されていたのだ。世界で最も危険な動物は、確かに地球環境を恐ろしい勢いで危機へ導いている人間だ。

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