借金玉

文章を書いて暮らしている人です。 ここではどこにも行き場のない話、日常雑記などを書いて…

借金玉

文章を書いて暮らしている人です。 ここではどこにも行き場のない話、日常雑記などを書いていきます。 内容はフィクションだったりそうでもなかったりします。 楽しんでもらえたらうれしいです。 www.amazon.co.jp/dp/4046020768 こんな本書きました

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  • 玉雑記

    あまり多くの人に向けては書きたくないこと、表に出なかった商業原稿、最近の雑記など月2回~(最近は大体4回)更新します。色々あって、ツイッターが本音を言う場所ではなくなったので、こちらでやろうと思います。ご興味あれば、是非。

最近の記事

もう行かない街のこと、それから鱒釣りのこと

 久しぶりに高田馬場に行ったら、なんだか見たことのない街になっていた。疫病の季節はここぞとばかりに進出するアジア圏勢力が台頭していたけれど、最近はまた日本人が押し返している気もする。大学周りの飲食店はかなりのダメージを受けたけれど、徐々に回復を始めている様子だ。久しぶりに大きな音でジャズが聴きたくなってお店に入ったら、なんと禁煙になっていた。え、禁煙になったんですか? と尋ねると、もう4年も前のことだよ? と返されて、前回ジャズを聴きに来てからもうそんな時間が経ったのかと驚か

    • 羽根について

       三十代になるまで、新幹線に乗ったことがなかった。  東京の人にこの話をすると結構びっくりされるんだけれど、僕が生まれて初めて新幹線に乗ったのは、依頼があって福岡の捕鯨イベントを取材したときのことで。東京ー福岡間の移動があまりに快適で、正直なところびっくりした。「長い距離を列車で移動する」で僕が最初に思い出すのは、大学生の頃青春十八きっぷで東京ー札幌間を移動したときのことで、まぁそのなんというか…二度とやりたくない(青森まではまだいいとして、函館ー札幌間が地獄過ぎる)。なので

      • 梅雨を待って、傘を忘れる

         東京に来て、一番とまでは言わないんだけれど、それでもとてもうれしかったものに「梅雨」がある。春から初夏に向かうあの日差しは、疲れて痛んだ目や心にやさしくない。だから、僕はだいたい毎年梅雨入りの日をとても楽しみに待っている。目を覚まして窓の外を見る、雨が降っている。ああ、今日は雨降りの日だからお休みの日だ。そういう気持ちになれると、ちょっとだけうれしい。僕はね、運動会が雨で延期に、あわよくば中止になることを祈る子どもたち、声が小さくて足の遅い彼らの側に立つおじさんであろうと、

        • スリップしたこと、尽きていったもの、せめて次の電信柱までは

           十年越しに睡眠薬依存へスリップし、挙句の果てにオーバードーズで緊急搬送された。言い訳の余地もない。  この数年、ひどいことがたくさんあって。  もちろん、僕なんかよりずっと辛い境遇を前向きに生きている人はたくさんいるだろうし、ただ単に僕が弱いだけなんだろう。「生きのびよう」なんてテーマで「サバイバルガイド」を書いた著者が、自分の人生や未来が存在しなくなった前提に立って行動している現状は、どんな事情があろうと「読者様への裏切り」としか言いようがない。ただただ、申し訳ない。

        もう行かない街のこと、それから鱒釣りのこと

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          えりぞ@erizomuことN氏による嫌がらせ電話音声

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          えりぞ@erizomuことN氏による嫌がらせ電話音声

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          えりぞ@erizomuことN氏による嫌がらせ電話音声

          私が長く仕事を止めていた理由と、これまで何が起きていたのかについて①

          先日の騒動についてのお詫びとご報告 まず、さる3月31日に顧問弁護士より報告がございました、私の自殺未遂騒動について心よりお詫び申し上げます。  恥を忍んで真実を申し上げると、あれは自殺未遂などというマトモなものではなく、ここから続いていく文章を書き連ねるストレスと膨大なデータをとりまとめる作業の苦しさに耐えかね極度の不眠に陥り、睡眠薬を飲み足すうちに自己制御を失い、助けを求めたのか、何か言いたかったのかは思い出せませんが、顧問弁護士に電話はかけたものの、結局そのまま吞み続

          私が長く仕事を止めていた理由と、これまで何が起きていたのかについて①

          「実行系」について、発達障害者における職業的訓練について、あるいはもう戻らない時間と壊れた身体について

           これは次に出版される予定だった書籍のコアになる部分なのだけれど、最早次の本が出せるかわからない状況なので、ここで書けるだけ書いてしまおうと思う。  編集やブラッシュアップを経ていないので、些か言葉は足りていないか、さもなければ過剰になっているだろうけれど、書き散らしておけば誰かの役に立つかもしれない。  これは「理系」「文系」みたいなやつと合わせて「実行系」みたいな概念を持って鍛えるとすごくいいんじゃないかな、ってお話。  発達障害者、あるいは健常者の中にすら多いのだ

          「実行系」について、発達障害者における職業的訓練について、あるいはもう戻らない時間と壊れた身体について

          働ける障害者、働けない障害者、それから健常な人たちと、夜が明らむ前に。

           障害者の分際でこんなことを言うと匿名SNSなんかではすごく怒られるのだけれど、僕にだって欲しいものはあった。都心のタワマンなんて言わないし、イタリアのスポーツカーなんて言わない。ただ、住宅ローンを組んで家を建ててみたかったし、家族だって欲しかった。もちろん、僕らの生まれた時代はすごく不景気だったからこれが「人並み」なんて言わない。健常者でもこの水準に辿り着けない人がたくさんいるわけで。もちろんそれはわかっているのだけれど、「ふつうの生活」に対する憧れは僕の中にずっとあって、

          働ける障害者、働けない障害者、それから健常な人たちと、夜が明らむ前に。

          どこへ行くあてなく流れては枯れて、水仙の咲く足許を見る

           花を活けられなくなった。  人間は精神や肉体が壊れると、どんどん感受性が乏しくなっていくものらしい。何も食べても美味くない(だから料理コラムを書きようがない)し、何を聴いても騒音になる。嗅覚もだめだ、長年気に入っていたお香(とても安くていい香りなので金沢から取り寄せていた)から、寿司屋のカウンターに香水をたっぷり振りかけて座るあのクソみたいな匂いがする。  理屈はわからない、ふつうに考えれば体調の悪化とともに知覚は鈍麻するはずで、味覚に関してはその通りの結果になっている

          どこへ行くあてなく流れては枯れて、水仙の咲く足許を見る

          髪と眉を剃るだけのことで変わる、人は見た目が八割かもね

           最近、ある種の意思と決意のために、髪と眉を剃り上げた。自分は社会的なものや真っ当なものとは断絶して、やるべきことに集中する。そういう効果を期待している。もちろん、こんなことは無職(僕のことだ)ならだれでも出来る。本質的にはなんの意味もない。ちょっとした気分転換くらいの話だ。  最初は片耳でも切り落としてみるか、それとも顔に丸パンのクープみたいな十字の切れ込みでも入れてみるか、なんてことを考えたのだけれど。「それは単なる自傷行為だな」ということで保留した。自傷行為は快楽を伴

          髪と眉を剃るだけのことで変わる、人は見た目が八割かもね

          作りかけのトラック

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          死ぬことについて、依存症について、あるいは人間の屑について

           僕は自殺未遂を何度も起こしている。  なので、「こうやってもまず死ねない」方法について、結構詳しい(本当に悲しい知識だ)。こういった内容の記述は基本的に避けようと思ってきたことであるのだけれど、自分自身の人生が岐路にあると感じられている今、書いてみることにささやかな意義を感じなくもない。もうあまり「生きていこう」と主張する権利は僕にはないのだけれど、「医療リソースをムダ食いする僕のような人間の屑になるな」くらいは言っておいた方がいいと思う。自分自身を戒めるために。二度と繰

          死ぬことについて、依存症について、あるいは人間の屑について

          作りかけの曲

          マガジンを購入すると全編(01:03)を視聴することができます。

          作りかけの曲

          マガジン限定

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          けじめをつけるために、一つずつ

           自分の人生やこれまで生きて来たことに「けじめをつける」というのは、それなりに難しいことだと思う。もちろん、薬と酒をかっくらって風呂にでも寝っ転がってみたり、あるいは先日アップしたトリカブトとロヒプノールを口に放り込んでしまえばそれで終わるところではあるけれど、なすべきをなして、やるべきをやって、きちんと終える。そういうことになると、それはとても難しい。「生きていたい」気持ちは何をどうやったってゼロになることはないし(希死念慮に苛まれて生きて来た僕の場合、その逆も然りなのだけ

          けじめをつけるために、一つずつ

          Credit check and Trust exercise. Failed.

          Credit check and Trust exercise. Failed.

          春と嘯く

           これは雪国で生まれた人じゃないとピンと来ないやつだと思うのだけれど、「春」ってのは本当に汚らしい季節で。雪に埋もれていた衛生的とはとても言えないものたちが一斉に溢れ出してくるあの光景を命の芽吹きと呼ぶのは別に間違いじゃないと思うんだけれど、埋もれていた犬のフンが一斉に解凍されてくるあれを見ても春が好きでいられる人は、ちょっとした才能に恵まれて生まれたんだろうと思う。  少なくとも僕はそうじゃない。だから、僕は北国の春が大嫌いだし、東京の春はといえばちょっとだけ苦手だ。どう

          春と嘯く