おかもと|たどる舎

公認心理師。専門は回想法/ライフレビュー。回想録の作成をしています(カウンセリングであ…

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公認心理師。専門は回想法/ライフレビュー。回想録の作成をしています(カウンセリングでありません)。本と植物が趣味。

マガジン

  • 回想録・自伝・家系図等の記事

    回想録・自伝・家系図等、記録に関する発信をされているクリエーターさんの記事を集めました。

  • 回想法・回想録のこと

    「回想法や回想録」についての記事をまとめています。個人回想法のやり方や体験談、回想録の作り方などを紹介します。

  • 読書感想文

    読んだ本の感想を集めたものです。

  • 記憶の不思議について

    記憶についての記事をまとめます。人にとって記憶とは何か、科学・社会・表現など様々な側面から考えてみます。

最近の記事

  • 固定された記事

私が回想録を作るわけ、そもそものはなし。

今日は、回想録を作り始めたきっかけについて話したいなと思います。 そもそも、本当にそもそもの話まで遡ると、「捜神記」という本が好きだったことが始まりです。この本は、4世紀半ばごろ、東晋の干宝という人物が書いた「志怪小説集」のひとつと言われています。たまたま本屋さんで手に取って読みはじめたら面白かったと言うだけで、この手の本に詳しいわけでは全然ないので、以下、解説より引用します。 この本には、464つの話が載っています。驚いたのが、ありえないような珍奇な話がしれっと事実っぽ

    • 回想を聴く人は、何を考えているか? / その醍醐味について。

      今日は、回想を聴く人は何を考えて聴いているのかについて書こうと思います。これはあくまでも私の場合と思って読み進めて下さい。 映画を見るように映像が浮かぶ これは私の聴き方の特徴なのかもしれませんが、映画を見ているように話を聴いています。多くの場合、人が回想をするとき過去を映像で見ています。それを言葉に変換して私に伝えてくれている。だから、私もその方と一緒に映像を見ているのです。 細部を拾う ライターさんがインタビューするとき、その先にいるのは読者ですので、恐らく、読者

      • 親子で回想法をするコツ②/「テーマ」自分も楽しんでみるのがいいかも😊

        今回は、「回想法のテーマ」について。 テーマを決めておくメリット 回想法では、「記憶を思い出すきっかけ」を提供する所から始まります。 物や映像、歌などを見て/聴いて話を広げる場合もありますし、質問(またはインタビュー)をして答えてもらう場合などもあります。 どちらにせよ、テーマを決めて相互で了解しておくと、混乱せずにスムーズに進めて行きやすくなります。 聴き手の姿勢が大切です 特定の時期の質問をしても、はじめは、記憶が行ったり来たりするかもしれません。今のことと昔

        • やってみよう!親子で回想法のコツ①/「ルール」 一番大切なのはコレです。

          親子で回想法の第二弾「親子で回想法をするときのコツ」をご紹介します! 今日は1回目。まず実施する前に知っておいて欲しい「回想法のルール」から始めます。 回想法の種類 回想法は大きく分けて二つ、グループ回想法と個人回想法に分けられます。グループ回想法はグループを対象に行うもの、個人回想法は1対1で行なうものになります。 親子の回想法は個人回想法に入りますので、今回は、個人回想法のやり方を中心に書いていきます。 回想法のルール 基本的に、グループも個人も共通したルール

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        記事

          昭和なマンションを手入れして暮らそう。

          こんにちは。今日は小川奈緒さんのVoicyを聴いて家の手入れを始めた話をしたいと思います。 今住んでいる昭和なマンションは数年前から住んでいます。選んだ決め手は、下見に来た際、窓から見える景色がとても良かったことと部屋を仕切るガラス戸がレトロで可愛かったこと。 そのガラス戸は格子になっていて、昔おばあちゃんちで見かけたような星の輝き模様の磨りガラスがはめ込まれています(後で調べたら「銀河」というモチーフでした)。不動産屋さんが言うには、リフォーム時に取り除いてしまう家が多

          昭和なマンションを手入れして暮らそう。

          人生経験とはつぶやき /「100年の旅」 ハイケ・フォーラ(著)

          こんにちは。今日は「100年の旅」という本を紹介したいと思います。0歳から99歳までの人生を鮮やかなイラストと心に刺さるつぶやきで表現された絵本です。 私も中年期と呼ばれることに慣れてきて、近頃は、20代の頃には「オーバーだな」と思っていた大人たちの話が「本当だったよ!」と驚き実感する日々を送っています。それでもパワフルに生きていた彼らに今更ながら凄いわと思います。 この実感、これをこの本では「人生経験」と言います。 人生経験というとなんだか「敬え/従え系」のイメージが

          人生経験とはつぶやき /「100年の旅」 ハイケ・フォーラ(著)

          親子で回想法をすることをオススメする理由

          こんにちは。今日は、父と回想法をした時の体験談を書きたいと思います。「こんなことを思ったよ・こんな効用があったよ」といった内容をご紹介します。 そもそも「回想法」とは何か? すごくシンプルに言うと、 それにより、 今は、認知症の予防などでも注目されていますね。専門家でなくても誰でもできるものとして広く活用されています。 父と回想法をやってみたら… さて、私はその回想法を父とやってみることにしました。そしたら、衝撃だったんですよ。 当たり前ですが、私が生まれた時点

          親子で回想法をすることをオススメする理由

          人見知りでもやって行く、マインドフルネスを始めます。

          こんにちは。今日はあいにくの花曇りですが、そんな日の桜もしっとりと落ち着いて見えていいですね。近所の公園の近くにあるカフェでランチを食べました(唐揚げ定食です!)。桜の下で子どもたちが楽しそうに遊んでいる姿を、見るでもなく見ながらご飯を食べていたら、なんとなく今ならチャレンジできるかもしれないなと思いたちました。 そのチャレンジとは、マインドフルネスのコースに参加すること。以前から興味があり独学でやっていたマインドフルネスですが、ちゃんと習ってみたいなと考えていました。

          人見知りでもやって行く、マインドフルネスを始めます。

          「怠惰の美徳」梅崎春生/怠けたいのが通常通り。周りが立派に見えた時の本

          世の中の人たちは立派だなあとしみじみ思う。SNSやブログを読んでいるとますます思う。そうすると自分がだんだん嫌になってくる。ダメだなわたし。 多くの人が、かしこく勤勉見える。ひるがえって自己を見ると、ペースが遅い。怠けているつもりはないが、怠けているのかもしれない。真面目なつもりだが、真面目にかまけて実はマイペースなのかもしれない。わき道にわき道を重ねているような… 周りが立派に見えて、気持ちがいっぱいになった時に手に取る本。タイトルがいい。帯のキャッチフレーズもいい。

          「怠惰の美徳」梅崎春生/怠けたいのが通常通り。周りが立派に見えた時の本

          (昨日は嘘) 詩・谷川俊太郎/私は揺れるもの

          (昨日は嘘) 昨日は 嘘 明日は 嘘 今の 今 私は私 無数の 因 一個の 果 熟してまた 未知の 種子 谷川俊太郎さんの詩集「虚空へ」より(昨日は嘘)を引用しました。 詩には散文とはまた違う良さがありますね。言葉を少なくすることで、読み手の解釈が広がり、自分の心が映るようです。 私はこの詩に、「私の心」が揺れる様子を見ました。自己を理解したような気持ちになっても、また次の日には違うことを思う自分がいる。無数の要因があって今の結果(自分)があるけれど、それでも、

          (昨日は嘘) 詩・谷川俊太郎/私は揺れるもの

          人見知り克服というか、うまく付き合っていく方法

          私は相談にのる仕事をしてますが、なかなかの人見知りです。内向型とも言えますが、自分としては人見知りの方がしっくりきます。 人見知りで人前でほとんど言葉を発しなかった私ですが、なぜか、話しを聞く事は向いていた様で人に勧められて、この仕事に足を踏み入れました。 しかし、話しを聞くのが少し得意ぐらいでは務まらない仕事でしたので、千本ノックのような毎日。そのおかげで、二人での対面のコミュニケーションは、できるようになりました。 しかし、問題は、二人以上の場合です。 人見知りと

          人見知り克服というか、うまく付き合っていく方法

          柔らかい記憶 / 自分は何者かへの問いかけ

          前回も紹介した、Nさん(70代、女性)のもう一つの詩を紹介します。 Nさんから、回想の感想を詩で頂いたときは、驚きました。しかし、Nさんは、自分にとって詩は、趣味を超えて生きていく上でなくてはならないものだったと語っていました。「全部、詩に表わしてきた」と。そして、他者とつながる楽しみでもあったようです。 Nさんの気持ちがまっすぐに、詩から伝わってきます。前回の詩も、良かったらぜひ読んでみて下さい。70年生きてきた人の正直な詩です。 柔らかい記憶 回想プログラムで 私

          柔らかい記憶 / 自分は何者かへの問いかけ

          芥川賞作家が考える、小説と日記の違いについて/ 「やがて忘れる過程の途中」 滝口悠生

          「やがて忘れる過程の途中」は、小説家・滝口悠生さんがアイオワに滞在した3か月の日記を本にしたものです。 「あとがき」に、日記と小説の関係性について書かれた箇所があって、それが非常に興味深いのです。小説家が小説を書くとき、記憶をどのように扱っているのか、少しだけ読者に分けてもらえたような気持ちになります。 このあと、滝口さんは、「一方で、日記には書けない事柄もある。」と続けます。 本文に登場する滝口さん本人はリアルタイムを生きています。今日の私たちと一緒で、今、どのあたり

          芥川賞作家が考える、小説と日記の違いについて/ 「やがて忘れる過程の途中」 滝口悠生

          回想は、自分の物語を知ること

          私たちはそれぞれ、自分の物語(ストーリー)を持っています。回想は、その物語を知るための旅ともいえます。 70代、女性。Nさんの詩を紹介します。 70年間、生き抜いてきた人の言葉は私を勇気づけます。 記憶の森をたどる ー回想プログラムに参加したー それは 記憶をたどる 気づきの旅 今まで生きてきた記憶の森は 様々な 苦しみや 悲しみを抱えてきた それらを ふるいにかけて 私の記憶として体に浸みこませてきた 再び 掘り起こし確認する作業 他人にとっては下らない事を

          回想は、自分の物語を知ること

          人生の意味を知ろうとするとき

          人生とは何か。すごく難しい問いです。答えることは困難ですが、ここでは、自分の人生について、回想法・ライフレヴューの観点から、現在の点ではなく「過去から未来へと続く全体像」としてとらえます。 人は時の限りを前にした時、自分は何をしてきたのだろうかという「過去への問い」をすると言われています。 過去への旅に足を踏み入れた時、かつての情景や感情が、胸に込み上げて来るかもしれません。 私たちは、己の人生の意味を知ろうとします。それは「人生という織物をほぐし、また、紡ぎ直す過程」

          人生の意味を知ろうとするとき

          人の一生は、織り成された一枚の織物

          人の一生は、織り成された一枚の織物