「遺体」はどのように構築されているか――石井光太『遺体 震災、津波の果てに』(新潮文庫、2013年)
19,000人ほどの死者・行方不明者――関連死を含むと23,000人ほどになる――を出した東日本大震災。それまでそれぞれの場所で生きてきたさまざまな人びとが地震と津波によってほぼ同時にいのちを失い、死者となった。本書は、そうしたたくさんの死者たちの出現に直面し、うろたえたじろぎながらも「死者たちの尊厳」を守り抜こうとした被災下の職業人たち――遺体安置所ボランティア、医師、看護師、市長、市職員、消防隊員、自衛隊員、海上保安庁職員、葬儀社、僧侶など――の見えざる営為を、当人たちの