既にTwitterやうたの日などで発表している短歌で、特に気に入っているものを中心にまとめてみました。

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銃声で世界がまばたくその間に頬を伝ったあれは青春

半分に切ったつもりが少しだけ大きい方を譲れる幸せ

左手に残ったページの重たさでこの物語の終わりを悟る

このままで終わるのかもな　ラスサビの転調みたいにきみと出会いたい

振り出しに戻るのマスの直前で６の目が出る　嗚呼いつもそう

重くなる瞼の上で踊り出す活字が夢の脚本な夜

トーマスのチューイングガム買えばまだわたしはきっとがんばれるまだ

行き先を与えられなきゃ動けないエレベーターのようなぼくたち

教科書とにらめっこしている間に逃した景色いくつあるだろう

宇宙から着信がありなんとなくHELLO？と応えてみる月曜日

学校で教えてもらった配色の星にはたぶんいない宇宙人

新しい景色が見たくなってまたあなたの万華鏡を回した

田（マリオカートの４人対戦で分割される液晶画面）

子どもから大人になるにしたがって見えなくなったモスキート色

悪役の台詞も母の声なれば夢の挿入歌として響く

戦中は噛んで食べてた飴玉をいまゆっくりと舌で転がす

ブラウスのボタンを掛け違えたまま注いでくれた紅茶がキラリ

スカートは二本の脚を獲得し木漏れ日のなか駆け出していく

制服に付いた檸檬の染みと目が合ってあの日に連れ戻される

間違ってはないけどたぶん正解でもないこの日々を愛しています