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天穂のサクナヒメをクリアして、「田植唄の使い方」が完璧すぎてボロボロ泣かされた話

やっと「天穂のサクナヒメ」をクリアしまして、ラストダンジョン~エンディングの流れがあまりにも良かったので、早くナイトシティに旅立ちたい気持ちを抑えつつこれを書いています。

サクナヒメ、プレイ前は一切そういう「感動系」みたいなのは期待してなかったんですけど、終わってみたら大小合わせて通算4回も泣いてしまった(しかも冷静に考えたら全部「田植唄」絡みだった)。実際Twitterで検索してみても「田植唄」に琴線をブチ抜かれた人が多数観測できます。


いやもう、全部1000%同意ですよ……田植唄いいよね……あと朝倉さやさんの歌唱力すさまじいよね……。今後「今日は一日ゲーム音楽三昧」みたいな企画があったら間違いなく上位レギュラーに君臨するであろう、ゲーム史に残る名曲だと思います(あと個人的にはラストダンジョンの曲も)。

取りあえず、このままだと無限に田植唄の感想をあさって貼り付けるだけになってしまいそうなので、このゲームの「『田植唄』遣い」があまりにも完璧だった、ということだけ書き残して、それからサイバーパンクに専念したいと思います。

以下、終盤の展開にがっつり触れてるので、まだクリアしてない人は読まないように!(※ゲームライターマガジン用に有料設定してますが最後まで無料です)


出てくるたびに泣ける「田植唄」

このゲームのメインテーマであり、ロンチトレーラーなどいろんなところで使われている「ヤナト田植唄(たうえうた)」。ゲーム中ではっきり分かる形で流れるのはたぶん4回……で合ってるのかな、基本、音楽方面にはあんまり明るくない人なので、間違っていたらすいません。

で、この「4回流れる田植唄」が、ベースは同じ曲なのに全部使い方が違っていて、しかも全部めちゃくちゃエモいんですよ。

最初に流れるのはゲーム序盤、田植えのイベントでサクナや太右衛門たちが唄うアカペラ版。このイベントがまたいいんですが……僕は実家が半分農家だったこともあって、この時点でもう泣いてしまった。これが1回目。


それから次に流れるのは、最終決戦直前の出陣イベントで、太右衛門たちがサクナを送り出すために唄う「田楽版」。みんな大好き、序盤で出てきた曲が一番の盛り上がりどころでまた出てくる(しかも前とは違う文脈で)アレです。2回目。


そして間髪入れずラストダンジョンへ。道中BGMが「田植唄」のめちゃくちゃ熱いアレンジ! 燃える!!!! 3回目。


ここまででもう十分ブチ上がってるわけですが、とどめとばかりに流れるのがエンディングの「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」。オーケストラによる伴奏と、朝倉さやさんによるボーカルが入った完全版です(YouTubeや各種サブスクに公式音源あり)。

クリアの達成感と、朝倉さやさんの歌唱力に胸を打たれつつ、ここでようやく、後半パートの仕掛けに気付く。ああああそういうことか!!!!! 号泣。これで4回目。


最後の3回はリアル時間でだいたい60分くらいの間の出来事なんだけど、エモのつるべ打ちで死ぬかと思った。序盤で出てきた曲がクライマックスでまた流れるやつ、ゲームに限らず映画なんかでも鉄板の演出なんだけど、ここまでキレイにコンボを決められたのは久々だった。


実は全て「田植唄」につながっていたという気付き

もう一つ触れておきたいのが、さっきちょっと書いた「後半パートの仕掛け」について。以下、ぜひ正式な歌詞と一緒にどうぞ。


この曲、「♪根付きの悪さぁヨー」から始まる前半パートと、「♪おいでなされ田の神さんよ」から始まる後半パートにはっきり分かれていて、最初の田植えイベント(アカペラ版)では前半しか歌われないんですよね。

後半まで含めたフルバージョンが聞けるのは、出陣イベントで流れる「田楽版」から。

ちょっとだけ公式の歌詞から引用します。「田楽版のみ」とあるのが後半部分ですね。

根付きの悪さぁヨー 心根弱さヨー 泥に足沈め 腰を折る
苗の細さぁヨー 吾が身細さぁヨー 空き腹で願う 黄金腹

(田楽版のみ)
おいでなされ田の神さんよ 蛙も歌い呼ぶ
稔りゃたんとお返し申す まばゆい米と酒


で、ここまで聞いてようやくプレイヤーは、田植唄が単なる「稲作の歌」ではなく、「田の神に捧げる歌」でもあったことに気付くわけです。そして同時に、ゲーム中のいろんな曲で使われていた「♪ちゃらら~らら~ららら~ら~――」のフレーズが、実は田植唄の後半だったことにも気付く。

一番分かりやすいのは多分、ボス撃破後のファンファーレですかね。他にもワールドマップ、田んぼ、ボス戦の後半などなど……遊んでいる間は「あ~このフレーズよく聞くな~」くらいだったんだけど、「あれも、これも全部田植唄の一部だったのか!」と気付いたら、これまでの苦労が全部感動になって逆流してきて、一気に涙腺が決壊してしまった。


ちなみにこの「仕掛け」については、今作の音楽を担当した大嶋啓之さんが、自身のブログでもっと詳細に解説されているので、まだ読んでいない人はぜひ一読を。僕はこのnoteを書いている途中で教えてもらい、まんまと制作者の意図に踊らされまくっていたことが分かって悶絶しましたw

ゲーム序盤のアカペラ版では第一主題のみが歌われるため、第二主題の方はいろいろなところで耳にしても「聞き覚えのあるメロディ」としか認識されません。
ゲーム後半で田楽版が初めて流れたときに「このメロディも田植え唄の一部だったんだ!」と認識することで、「生活のすべてが田植えに直結している」というこのゲームの本質を感じ取っていただけたら狙い通りです。


端々から感じる、稲作文化への畏敬

最初の田植唄のときにもツイートしたんですけど、このゲーム、「稲作文化に対する畏敬」のようなものが端々から感じられて、それがすごくゲームに深みを持たせてるんですよね。

単純にゲームとして楽しいんだけど、遊んでいると不思議と、もっと何か言葉にできない、ものすごく大きなうねりの端に触れているような気持ちになる。だからこそきっと「全てが田植唄につながっていた」と気付いたときに感動が押し寄せてくるんだろうなと思います。

ということで、このゲームの「『田植唄』遣い」があまりにも完璧だった、という話でした。朝倉さやさんが歌う「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」は、YouTubeのほかSpotifyやApple Musicなど各種サブスクにもあるのでぜひ聞きましょう。あとなるさん、他の曲もぜひ買わせてほしいので、サントラの単品売り待ってます!


追記2:サントラ単品でも買えるようになりました!

「萌 -めばえ-」「盛 -さかり-」「稔 -みのり-」あたりの田んぼBGMをローテーションさせておくと作業用BGMとして最高なのでぜひ買いましょう。




追記:トロコンしたので総括的なものを


※以下、おまけ程度だけどマガジン読者向けに

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