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『デ・キリコ展』(東京都美術館)

【内容】
20世紀を代表する巨匠の一人、ジョルジョ・デ・キリコの回顧展。

【感想】
若い頃から、最晩年の作品まで揃った展示ということで、キリコの画業というのを観ることがでしました。

印象派の画家たちが活躍した頃から、1978年に90歳まで絵を描き続けてきた人だけに、その画風も時々で変化していてとても興味深かったです。
特に、アンディー・ウォーホルとの交流などがあったということで、ポップアートの影響を受けた(?)りしていたのは、今回の展示を観るまで知りませんでした。
70年代の最晩年の作品の印象は、全部の作品がそうかは知りませんが、ポップさと軽さのあるものになっていました。第一印象として、漫画でイラストレーターの佐々木マキぽいを感じました。

ルノワールや古典絵画の影響があった頃の作品も、興味深かったりしました。

あと、再制作といって、以前自分で描いた絵と同じものを描き直すということをやっていた人ということで、同じ絵の別バージョンが大量にあるとのことで、そこら辺のことを感じながら絵を観たりしていました。

とはいえ、この画風でやたらに再制作繰り返していると、贋作作りやすそうだなあと思っていたら…
キリコの初期の回顧展に、大量のキリコの贋作絵画が並んでいて、キリコが激怒したという話の紹介を読んだ時は、思わず笑ってしまいました。

贋作といえば、先日観に行った展覧会で、動物を描いた超絶下手ウマな絵を観たのですが、これは本人が描いたといって良いのかなあと思いながら観ていました。
学芸員さんの話しによると、つい最近購入したもので、その絵のインパクトに観にきている人たちが写真を撮ってsnsにアップしているとのことでした。
他の絵には殆ど押してある落款もないということで、よりあれな気がしたりしました。
本人が、過去の作品を描き直している作家もいますが、それが作品としての質まで担保しているかというと…
今回の展示は、キリコは不思議な形で自己のセルフコピーとその時々のテーマに取り組んだ作家だったことが伝わってきました。

https://dechirico.exhibit.jp

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