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試行錯誤の途中【4/27 対ホークス2軍戦●】

昨シーズンのあるときから、井上広大は打席で足をあまり上げなくなった。今シーズンも井上は打席内で足をほとんど上げない。いわゆるノーステップ打法だ。

「ノーステップ打法」で検索をかけてみると、直後に「飛ばない」と出てくる。たしかに足を上げて体重移動を行わない分、踏み込みの勢いを力に変えることは難しい。他のプロ野球選手が積極的に取り入れない事情から考えても、これはこれで難しい打ち方なのだろう。

5回を終えて、タイガースは無得点が続いていた。まあ無理もない。2軍戦とはいえ、ホークスの先発は和田毅だ。タイミングが取りづらいフォームと、巧みな投球術に若い選手がやられている。

グラウンド整備が終わった6回、1アウトから3番の渡邉諒にツーベースが出た。井上の3打席目はチャンスで回ってきた。
和田はチェンジアップでタイミングを崩しにかかるが、井上はこれを見逃した。そして5球目。

打球が大きく上がった。
上がって、上がって、落ちてこなかった。
今シーズン3号となる2ランホームラン。
パワーが落ちがちなノーステップで打ったとは思えない弾道だった。

埼玉から福岡に引っ越してから、タマスタ筑後にタイガースの2軍戦を見に行くようになった。そのときから、井上は2軍戦で主に4番を打っている。ずっと見ているからこそ、自然と思い入れも強くなる。試合や練習を常日頃見ているわけではないけど、井上が何とかしようとしている思いはひしひしと伝わってくる。フォームの改造はその最たる例だろう。

1軍の壁が分厚くて高いことは分かっている。それでも僕は、この男が1軍のスタジアムで大歓声を浴びる瞬間をまだ諦めていない。
まだ諦める理由なんて、1つもないのだから。


【あとがき】
ノーステップ打法でヒットを量産した井上は、5月10日の試合から1軍に呼ばれることになった。ついに、井上の出番がやってきた。

去年も言った気がするけど、何度でも言いたい。
観客がまばらな2軍の試合はもう似合わないよ。


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