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町田康さんのサイン会に行った思い出

おとといの記事で作家・町田康さんの話題を出し、昨日の記事で東京駅について書きました。

完全に偶然ではありますが。
そんなふうに書いたことをきっかけに、

「そういや町田康さんのサイン会も、丸善の丸の内本店でやってたっけ」

という具合に「町田康さん」と「東京駅」のふたつを繋げられる出来事を、唐突に思い出しました。

日記として当時やっていたインスタに書き残したものの、そのインスタのアカウントはもうありません。
どこにも残していない状態なので、この機会に振り返ってみます。



2019年10月17日。
短編集『記憶の盆をどり』発売記念に開催された、町田康さんのサイン会へ行きました。

整理券をどうやって手に入れたのか覚えてないな…。
でも事前に店舗へ行って入手した説が濃厚です。
でないと極度の方向音痴の私が、仕事終わりに大急ぎで向かっておきながら迷った記憶がないことに説明がつかない。
(ガチの方向音痴って点は自信があります)


町田康さんは今でも大好きな作家ですが、2019年当時はもっと好きで、小説からエッセイまで既刊をひたすら読み漁っていた時期でした。

現実的に行けるエリアで、サイン会が開催される。
この機会は絶対逃したくない!! という気持ちで挑んだはずです。
少し後に、いわゆる接触イベントの一切が中止になってしまうことを思えば。木曜日という日程に臆せず参加しておいてよかったと思わずにはいられません。


改めて、その時を振り返ってみます。
自分の番が近づく程に、町田さんがいらっしゃる場所までの距離も近づいていきます。
憧れの作家がすぐ近くにいる事実に心臓バクバクさせつつ、座っているお姿をチラ見して待ちました。
(ガン見する勇気などあるわけない)

サイン会は、参加者の名前も書いてくれる形式でした。
事前に渡される紙に、自分の名前を書いておく。
順番が来たら、町田さんの横にいらっしゃる係の人にその紙を渡す。
係の人が町田さんの見やすい机上に紙を置いて、町田さんはそれを見ながら署名をする……という流れ。

心臓バクバクのまま、ついに順番になりました。
作家のサイン会なるものに参加するのが初めてだったので、名前をどう書いてもらったらいいのか頭が回らず、正直にフルネームを漢字で書いて提出しました。

決して短い時間ではなかった筈。
でもはっきり言って、そのほとんどをもう忘れてしまっています。
(やっぱりちゃんと残しておくべきだったよね)

そんな中でも、今でも鮮明に覚えているやり取りがあります。
私の名前の横に、町田さんがご自身のお名前を書いていた時。
町田さんのお名前が、パッと見、私の名前よりも小さい文字で書かれているように見えたんです。

緊張して頭真っ白だったことも間違いなく影響してますが、

「なんか私の名前のほうが大きい気がします」

って、思ったことそのままを言ってしまいました。
(今思い出しても恥ずかしい)
(係の人も笑っちゃってたし)
(緊張してたからってもうちょっと考えてしゃべろうよ自分)

しかし町田さんは流石でした。
私のパッパラパーな発言を受けても特段動揺など無く「ああ、」と笑顔を見せたかと思うと、

「書きたくなる名前なんですよ」



……舞い上がりすぎて腰抜けるかと思いました。
咄嗟の切り返しでこの一言が出てくるってちょっと凄すぎませんか。

その後、どんなふうに終えてどうやって帰宅したのかなど、もう覚えていないことのほうが多いわけです。4年半以上も経っちゃってるし。
でもちょっとだけ交わせた会話と、その時の光栄な気持ちは、今でも思い出せる。


宝物でございます。
町田康さん、あの時はありがとうございました。

#66日ライラン31日目


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