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社会人留学の後悔・英語・キャリア|シアトル留学2ヶ月目の視点から

アメリカ・シアトルにあるワシントン大学(UW)に留学してきて2ヶ月が経ちました。自分はUWのGlobal Business Certificateというコースでグローバル・ビジネスについて学んでいます。留学前は、2年半ほど日本のSaaS企業でマーケターをしていました。

いま日本のどこかで留学を考えている同じような人に向けて、こっちで思ったことを書こうと思います。基本的には「留学した方がいいよ」という話です(が結局自分次第という話も書いています)。裏テーマは「留学直前の自分に宛てた話」です。


社会人留学の「後ろめたさ」の正体

いまの仕事を辞めて、第二新卒の年齢で、留学いきます!とかっていうの、なんか後ろめたくないですか?自分にとってはいい判断なんだけど、先が見えない不安というか、世の中から疑心暗鬼に見られているというか・・。心の中で「いやお前まだ3年も働いてないだろ」って自己ツッコミしません?

それ、心配ないです。日本だからです。まあそもそも「社会人留学」の「社会人」という概念が、謎だと思うんですけど。「学生」は大学生まで。院に行くのはマイノリティ。社会人になってまた大学行きます!なんてのは甘えというか逃げ。そんな価値観が、日本にいる自分の中に広がっている。そんな感じがします。

ただアメリカに来て現地の同年代と話して思うのは、みんな、普通に院に行きたがっていますし、マスターだけじゃなくてなんなら博士も取ろうとしています。学士→2~3年働く→マスター→ちょっと働く→Ph.D.みたいなのが本当に普通。それが理想のルート。だから第二新卒の年齢で「もっかい勉強したいな」って思うのは、言ってしまえばワールド・スタンダードというか、人間の摂理にかなっていると思ってもらっていいと思います。

これは、単純に「日本とアメリカの違い」以上に、根深い問題だと思います。一回フルタイムの仕事を経験してから大学に戻ると、まじで面白いですよ、内容。で、すごい仕事に役に立つ。ビジネスのカオスな現場が、構造的に見えてくる。「この側面は組織行動論で説明つく」「この問題はファイナンスの知識がいる」「このプロジェクトはサプライチェーンの授業でやった感じか」と、一旦落ち着いて対応できる感覚です。

そして、こっちのビジネスマンは、だいたいMBAとか取っているからこそ、「同じページの上に乗って議論している」「同じルールブックを念頭に会話している」という感覚が強いです。日本ってビジネスを座学で学ばずに、経験だけに頼る感じというか、そっからいかに本質を見出すか見たいなゲームな気がするんです。けど、それって、文脈依存的だし、見出した本質が人それぞれで、しかもちっちゃい話で、なんか全然会話が成立しなかったりすると思うんですよね…。あと、世に出回ってるビジネス書とかも、個人の経験を煎じ詰めて「本質風」に書籍化したものとか結構あるから、それをいくら読んでも人と繋がれない。

アメリカの大学がワークしてるのって、前提としてコンテンツがまじで良いからだと思います。なんか授業を聞いていて、大きな大きな知識の運河を感じるんですよ。東京で言うなら荒川みたいな、太い川。そこから各論に枝分かれすることはあっても、知識の大樹にいつでも寄れる安心感がある。自分がとってるのが「Global Business」だからよりそう感じるのかもしれないけど、各国の文脈を超えた、世界中の誰もが使える、より大枠の普遍的かつ本質的な理論を学んでいる感じがします。

で、もし留学でビジネス学びたいって思うんだったら、必ずMBAも真面目に検討してください。自分は真面目に検討しませんでしたなぜなら「自分には早すぎる」と勝手にキャップをしたから。ただこの間オンライン英会話の先生に「なんでMBAにしなかったの?」って聞かれて「自分にはまだ早いかなと思った」って言ったら結構本気で叱られて。「2度とそんなふうに自分を過小評価するな」と。「こっちの子は22歳とかでMBA行ってるぞ」と。「その子たちの方がお前より賢いと思うか?そうじゃないよな?!」と。まあそうかと。で、やっぱ調べるとMBAの平均年齢若いし、僕が取ってるコースって、4日単位でテーマが変わるアソート方式なんで、どうしても表面的な内容なんですよね。だから最初からMBA行っとけばよかったな〜って思っています。日本だとMBAって「意識高い系」の頂点というか、「へっ」って感じだと思うんですけど、そんなこと言ってるやつが損してるだけです。まじで、行けるならすぐ行った方がいい。英語は後述するように割と大丈夫です。

で、提言としてはまず日本の大学がもっと変わるべきだと思います。はっきり言ってヌルい。学生を遊ばせすぎ。コンテンツで魅了してほしいし、もっと追い込んで良いです。大学を出た後に役立つ内容で。

で、企業側も学位とか資格をもっと重視すべきだと思います。こっちではきちんとシグナルとして機能しているので、みんな勉強します。「大学は4年間遊ぶもの」「もしくはガクチカして過ごすもの」というのが本当に良くないなと。アカデミック軽視だなと思います。知ってる?本当にすごい企業って本当にすごい知識が集まる場所で生まれるんだよ?

ということで、社会人留学の後ろめたさの正体は、「ビジネスの現場にとっての大学の機能不全」と「ビジネス(特に採用)の現場での学問軽視の風潮」のマリアージュが、「社会人留学する人」=「無意味なことやってる人」のイメージを立ち上がらせている、というものだと思います。

そして、アメリカはその逆です。大学での学問はビジネスにおいて実践的で、採用時も学位や資格が重視されます。ので、大学に何度も戻ることが熱心で理想的な姿です。

まあもっというと、幼い頃からの金銭に対する感覚、キャリア教育の違いもだいぶある気がしますけどね。アメリカってとんでも無くわかりやすい格差社会で、新卒で月収100万円の子も居れば、道端にホームレスが何十人といたりします。起業家や自営業者も多いので、幼い頃から自分のキャリア、何をやるかってのを考えるのが割と普通な気がします。お金も、稼ぐのが正しい。稼いでいると称賛する、褒める、というくらいの勢い。だから大学生からしっかり方向性を持って、専門性を身につけた状態で社会に出ることができるんだろうね、と思いますよ。

英語はやっぱり発話と暗記

まず、役に立った勉強法は

  • ネイティブの友達とおしゃべりする

  • リプロダクションをやる

  • 英語のプレゼンに毎回真面目に取り組む

  • Atsueigoに課金する

です。上から順に役に立った度が高いです。

ネイティブの友達との日常のやりとりはボディブローのようにじわじわと効いてきます。2ヶ月くらい続ければ、自信が割とついて、英語での会話やリーディングがuncomfortableでは無くなってきます。普通。水を飲むように、息をするように普通。語彙やスピードが十分ではないけど、そこにストレスを感じなくなったのは結構でかいしより英語を勉強しやすくなります。

個人練習はリプロダクションがおすすめです。やり方は下記を簡単に見てください。

で、教材が割と大事だと思ってて、自分はこれを使っています。ビジネスに特化したトピックや表現が多いので、翌日の授業とかで使えたりします。

日本で必ず買ってくださいね。輸入しようとすると倍の値段かかるので。

あとは、授業のプレゼンで毎回内容を暗記して話すようにしてたら、割と慣れてきました。TEDの暗唱もおすすめです。自分はこれが好きで渡米直後はずっとこれの真似してました。

ここまでの勉強法に共通しているのは、結局「発話」と「暗記」が大事だということです。口からのアウトプットは必須。それを何度も何度もやる。で、インプットももちろん大事なんだけど、ただ聞き流すんじゃなくて、短期記憶でもいいから覚えるようにする。そうやって英語表現を一つ一つものにしていく感じです。

あと、意外と役に立ったのが(すみません)AtsueigoのDistinctionと発音マスタークラスです。発音マスタークラスは、大学までではあまり習わない「発音」に特化した授業です。「フラップT」とか知ってました?まじですぐアメリカ人っぽい発音に近づきますよ。あとDistinctionはネイティブがよく使う表現集ですが、この間『ロキ』のseason2を見てたら、Distinctionで習った表現が1話に10個くらい出てきて、頻出やな!!と思いました。

自由時間が多い中でいかに自己研鑽するか

僕の場合は大学が平日の午前中3時間しかないので、仕事してた時期に比べれば時間の流れがゆっくりしています。課題とかプレゼン準備とかはもちろん授業外の時間にやるけど、それ以外の時間は別のオンラインクラス取ったり、ミートアップ行ったり、起業の計画立てたりしています。

意識的に自分を忙しくしておくことが重要です。じゃないとそれこそ「無意味」「無責任」な時間の使い方になってしまいます。留学前に自分が一番怖かったのもそこだった。

で、ただ人間ってどうしても弱いので、自分は「アトミック・ハビット」を取り入れて、習慣を設計していきました。アメリカ人、ほとんどの人がこの本を家に持ってます。詳しい内容は本やYoutubeを見てください。

で、なんか結局ビジネス勉強しにきてて、でもビザの要件のせいで働けない、ってなったら、起業計画するのが一番良いな、と思います。学生の期間に売り上げ立てなければ問題ないし、ただそれでいてアイデア検証から資金調達みたいなところまで頭使えるので。働いてた頃の自分を俯瞰して見れて面白いですよ「ああ結局"使われてる側"だったな…」って。

まじでおすすめは、ペンシルベニア大学(UPenn)のビジネススクールが提供している、Entreprenurshipのコースです。UPennのMBAはハーバード、ケンブリッジに次ぐ世界トップティアのクラスで、ぶっちゃけUWのコースよりも知的興奮はあります(これも俺がMBA取ればよかったなと思った理由・・・)例えば、

  • スタートアップの失敗の6割以上は、「プロダクトの良し悪し」ではなく、「経営陣の人間関係」に起因している

  • 起業して「一国一城の主」になることと、金持ちになることはほとんどの場合両立しない。時価総額が高い企業のfounderほど、経営の座をより高度な経験者に譲り渡している。

  • VCもIPOもファイナンスの一手法でしかないから、自社のビジネスの性質にあったファンディングとイグジット方法を見つけようね

など、やばくないすか・・?!っていう話が、基本的な起業の説明の上に乗っかっており、「あ、起業って手順があって、ちゃんとそれに従えばできるんだな・・・」と思えてきます。日本にいても受けれるので(しかも月8,000円くらいで受け放題なので)(全部英語だけど)ぜひ受けてみてください。

あと、家にPC用のモニターは早めに買ってください。ホームステイ先でずっとMacの14インチにしがみついてるのはキツいです。生産性低いし続かないです。自分はブラックフライデーセールでSAMSUNGのウルトラワイドモニターを買いました。まじで快適です。モニターが十分な高さまで上がるので、Macのディスプレイと被ることもないのでモニター台は買わなくて大丈夫です。

起業準備と、英語の勉強はほぼ両立しないです。英語の勉強は別で時間をとった方が良いです。「起業準備も全部英語でやろう!」というのはスピード落ちるし負荷高いので続かないです。あとさっき言った通り英語は「発話と暗記」だしね…デスクワークってずっと黙ってるからさ…。

ということで、自由時間のセンターピンは「起業準備」というのが今の自分の結論です。

まあこの留学をどういう期間にするかは、結局自分の行動次第だなと思います。同じクラスのエンジニア出身は、インターンを獲得しようと必死に勉強しています。ミートアップに参加したり、レジュメをレビューしてもらったりしている子もいます。アメリカって移動時間長いし景色広いし別に東京みたいに美味い店も面白いこともあんまりないので、自分の人生により集中できる環境だと思います。煎じ詰めれば、

人生は冒険だ
地図はないけれど
宝物探そう
信じてコンパス・オブ・ユア・ハート

ということだと思います(ふざけてない)。


シアトルでは昨日(11/22)から感謝祭シーズンに入り、5日間の休みになりました。12月からはほぼ丸々1ヶ月の冬休みに入ります。時間の使い方がまた変わるので、思うことが変わったらまた共有しますね。


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