筋肉で走らず連動で走る

最近はトレイルも走るようになったからか、体幹の重要性を感じる機会が多々ある。

そもそも体幹は何のために鍛えるのか?

体幹強化の目的は「身体のブレをなくしてエネルギー効率を高めること」にある。コマをイメージすると分かりやすい。

コマは最初の頃はすーっと回っているが、回転が弱まり軸がブレた途端に止まってしまう。

注目すべきは軸がブレた途端に一気に弱くなる点。ここから読み解けるのは「軸のブレを抑制するために余計エネルギーが消費されてしまう」ということ。

ブレは外側にベクトルが向いたエネルギーであり、このエネルギーを抑制するために同じ量のエネルギーが必要なのだ。だから軸がブレた途端にエネルギー効率が劇的に落ちる。

物理的にそうなのだからコマも人体も同じ。人体のエネルギー効率を落とさないためにはどうしたら良いのだろう。

調べてみると長く回り続けるコマのポイントは以下のようだ。

その3番目に「重心の位置が回転軸の中心にあるようにする」と書かれており、これはランニングにも当てはまる。これが冒頭に述べた体幹に関係する。

長く回り続けるコマをつくるには、次の4点がポイントになります。

・軸の先端部分の面積を小さくする(接触抵抗を減らす)
・空気の抵抗を受けにくい形にする(空気抵抗を減らす)
・重心の位置が回転軸の中心にあるようにする(重心の位置)
・中心部よりも外周部の方が重くなるようにする(回転の慣性を増やす)

https://site.ngk.co.jp/lab/no54/

体幹の話に戻ると、重心の位置が回転軸の中心にあるようする=ブレをなくすために体幹を強化する。

トレイルは不整地を走るため整地を走るロードよりも身体の軸がブレやすい。となるとエネルギー効率が悪い走り方になりがち。そのエネルギー効率の低下をミニマムにするために体幹がある。

長い距離のトレイルを走ると上半身も筋肉痛になる。これは走りながら体感を使っている証であり、ブレを是正するためにロードよりも体幹の稼働率が高いということ。

プランク(静的な体幹強化)やケトルベル(動的な体幹強化)を取り入れるのもエネルギー効率を落とさないためにある。長距離のパフォーマンスが高い人は瞬間最大速度が速いのではなく速度の低下をミニマムにして安定して進むことができる人。

僕の理想の走りは最初に生み出した動力を使ってずっと走り続けられること。筋肉を使わず連動だけで運動エネルギーと位置エネルギーを作り出し、それを動力として推進し続けられるフォームだ。

理論上は都度動力を生み出すから筋肉が消耗されるのであり、動力を最初だけ作るのでよければエネルギー補給を続けるだけでずっと走り続けられる。100マイル走る人はエネルギー効率が高い走りを維持できる強さがある。速さではない。

ずっと回り続けるコマであったり、ずっと歩き続けるモーターを実装しない歩行ロボットであったり、ここら辺が身体の使い方の理想系だ。これらは年齢関係なく改善できることなので、意識して取り組んでいくことにする。

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