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シン・育児 #3“日本の家事育児過剰品質問題に関する有識者会議”

離乳食という苦行

息子は5月9日現在、生後約11ヶ月。
後期離乳食の真っ最中である。
私は料理が好きで、かの“ライザップ・クック”にも通ってしまったほどだ。
(あの通学が料理の上達にコミットしたかどうかは、、、目下不明)
なので離乳食も自分で作ってみたい。
ということで離乳食初期が始まった頃、本屋で離乳食本をチラ見した。
で、心底思った。

「日本のお母さん、頑張りすぎやろ!!!」

ということで今日は「家事育児にかけるその労力は本当に必要なのか?」というテーマで書いてみる。

育児の過剰品質問題

その時チラ見した離乳食本は全部で8冊ほどだっただろうか。
そのほとんどが、離乳食のイロハと具体的レシピを詳細に教えてくれるのだが、パラパラっとめくって直感する。
「これ、無理ゲーやろ・・・」

一時期流行ったキャラ弁のごとく、彩りゆたかな離乳食たち(こんな盛らんでええやろ・・・)
食材はすり鉢を使って丁寧に潰す(なんで人力?ハンドブレンダー使えばええやん・・・)
非常に美味しそうなレシピがとにかくたくさん掲載(これ全部覚えるの無理やろ・・・)

誤解してほしくないが、私は世の中の離乳食本をあげつらって批判したいのではない。
これらの本に書かれていることは全て正解だとも思う。
ただ、正直な感想として「再現性があるか?」と聞かれたら、、、否!
効率的かと聞かれたら、、、否!!
現実的かと聞かれ、否!!!

初期の1回食ならまだしも、2〜3回食(回数は1日に食べる回数を示す)において、これを再現したら確実に1日が離乳食で終わる。
つまりは求められるクオリティが高すぎる気がするのだ。
これは私が男性、男親だからそう感じるのか?
そう思って妻に「これ、無理ゲーと思わへん?」と聞いてみた。
少し間をおいて、妻の「(うるせえ、言われなくてもわかってるわ」)」という無言の真顔が帰ってきた。
・・・うん、やっぱりやりすぎだ。

家事も過剰品質

話は少し脱線するが、これは育児だけでなく家事全般に言えるのではないだろうか。
着た服はその日のうちに洗濯すべき。
トイレや床は常に綺麗であるべき。
お弁当は毎日作るべき。
べきべきべきべき!ねばならぬぬううううう!

本当にそうなのだろうか?
例えば洗濯。冬は夏ほど汗をたくさんかかない。
それでも半日着た服を毎日洗濯する必要はあるのか?
過剰な洗濯は衣類が早く痛むだけではないだろうか?
(余談だが、クレイジーケンバンドの衣類クリーニングを専属で務めるプロの洗濯集団「洗濯ブラザーズ」の書籍によると、洗濯機の脱水は1〜3分ぐらいでいいそう。それ以上やると衣類が痛むばかりらしい)

これは国民性もあるだろう。
その完璧主義から世界最高品質を誇る日本製品。
禅の思想に基づく掃除を美徳とする文化。
もちろん世界に誇れる文化だし、日本人が失うべきではないと思う。
でも、毎日の家事・育児には過度に持ち込むべきものではないだろう・・・。

3冊の福音書との出会い

そんな漫然とした不満を抱えていた時、これらの本に出会った。
①『勝間式 超ロジカル家事』
②『離乳食&幼児食 まるごとBOOK』
③『シン・スタンダード』

①『勝間式 超ロジカル家事』

①は経済評論家でおなじみ勝間和代さんの著書。
テレビでみる、あの抜群の切れ味をなんと家事にも発揮していた(すげえ・・・)。
内容はタイトルの通り、超ロジカル。
掃除、洗濯、料理からメイクまで、非常に“再現性がある(ただし少し金がかかる)“ノウハウが満載だ。
おそらくこの本の価値は具体的ノウハウというより、その考え方だろう。
例えば、「靴下はそもそも“洗濯バサミで“干す必要はない」など。
「え?じゃあどうやるの?・・・・・なるほどその手があったか!」
といった、常識を疑う視点、そもそも手法をゼロベースで考える思考、が満載なのである。さすが、一流ビジネススクール講師。家事もカイゼンに溢れている。
・家事の段取りがうまくでできない
・家事で1日が終わってしまう
・とにかく家事から解放されたい
そんな悩みをもつ全ての人に、強くお勧めしたい一冊だ。

②『離乳食&幼児食 まるごとBOOK』

②は最近見つけた離乳食レシピ本。
この本、他のそれと何が違うのか。
非常に体系的なのである。
つまり、離乳食を構造的に解説してくれているので、1〜2つのエッセンスを頭に入れておくだけで、さまざまなレシピに応用できるのだ。
具体的レシピが羅列され、いつまでたってもレシピ本片手での料理から脱せないことが悩みだった。これは本当にありがたい。(こういう本を探していた!)

内容を軽く紹介すると、例えば後期離乳食の章では、
・後期離乳食スタートの意思決定目安
・1日の食事タイムスケジュールや1食分の目安量
・献立の基本フレーム(主食+主菜+副菜)
ここまではよくある内容だが、具体的レシピのページでは
・上記基本フレームが一度で摂れるオールインワンの食事
・ベースとなる和風スープ + 醤油や味噌を足すだけですまし汁、味噌汁になるレシピ
など、基本構造(エッセンス)を頭に入れておけば、複数レシピが作れるように、内容が工夫されているのだ。

これまで大人の食事も含め、本屋に並ぶ数多くのレシピ本を立ち読みしてきたが、このように体系だったレシピ本は非常に少ない。あまりに質が高くレパートリーに溢れる世の離乳食に疲れた方に、ぜひオススメしたい一冊だ。

と、こんな感じで家事と育児(離乳食)を現実的かつ効率的に処理する本と出会い、
ある程度楽になったのだが、根本的な日本的完璧主義思想からはまだ脱却できてない。
「っていうか、海外の家事・育児もこんなに大変(質高い)なのか?」
そんな風に思っていた矢先、この本とであった。

③『シン・スタンダード 日本人が生きづらいのは、日本の常識しか知らないから』

おおおお、なんとジャストミートな副題だろうか。
著者は世界各国を旅し、国連でスピーチも務めた経験もある谷口たかひささん。
環境活動のためにドイツに渡っ起業した、という経歴からはバリバリの現場主義・活動家イズムが伝わってくる。
この本を読むと、日本の家事・育児、はたまた仕事まで想像以上に過剰品質であることがよくわかる。
品質が高いことは良いことだが、その品質を維持するために現場が悲鳴をあげている。
でもそれが“あたり前”だから、みんな歯を食いしばって頑張っている。
でも外(海外)からみると、「え。。。?それ異常だよ、大丈夫??」というのが実際らしい。

この国の家事と育児、印象
(映画「シン・ゴジラ」より)

日本は島国で外国人、異民族との交流が少なく、日本語という単一言語国家ゆえ、海外の情報が入ってきづらい。その上、あらゆるインフラが整っているから外に頼る必要がない(資源と人手は例外だが)。
まさにガラパゴスになるべくして、ガラパゴス化しており、それは家事・育児という家庭の経営という側面にも非常に大きな負の影響を与えている。
それに加え、昨今は近所付き合いも少なく核家族でもあるため、他の子育て家庭との交流も少ない(我が家も両家の実家は遠方、近所の子育て世帯との交流はほぼない)。

This is ガラパゴス OF   ガラパゴス。
どこまでストイックなんだ、日本人!
ここらでテキトーになってもいいのではないだろうか?
締めるところはしっかり締める。
だが毎日全部締めてたら、そのうちおかしくなるのは自明だろう。
ゆるくやる。その方が現場のストレスが少なくなり、子供ものびのびできる。
結果的に効率的に物事が流れるのではないだろうか。

遊びのないハンドルは危険だ。
本記事で紹介した①〜③の本を読んで、テキトーに効率よく、
と同時に自己の常識も破壊しながらのびのび家事・育児をやること。
それが目下の私の理想であり、世に問いかけたいことだ。

本記事は以上だ。気づけば長文になってしまった。
さて、家事に戻るとしよう。
洗濯物をしっかり畳んで綺麗にしまって、あと布おむつを丁寧に洗って。。。。。
(・・・おい!)

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