2024年5月19日 創作SF小説「痛み」
曇りの日特有の、黄みがかった灰色の光のもとに手をかざした。
血管が青く透けて見える。
ヨドバシは、小さく四角い窓から入ってくる光に手をかざしたまま、手指を伸ばしたり縮めたりしてみた。
軽く握ったり、広げてぴりっとした痛みはないが
じんわりとした違和感、ぼんやりとした痛みがある。
痛みはインクのようなものだとヨドバシは思う。
ショッキングピンクのインク。
インクはにじみ、広がり、混ざり、霧散して、またどこかにたまる。
痛みが生じると
綺麗な水の中に、濁った水が混じるようだ。
動