日記 丸善に行く

2024/04/29
 昨日は疲れて小説が書けなかったのででかい本屋に行くことにした。三時間は書けない。三時間も書いてしまうと疲れて次の日もうなにも書けなくなってしまうので、ニ時間に抑えておこうかなという反省を得た。
 それはそれとしてでかい本屋。毎回でかい本屋に行きたくなったら池袋のジュンク堂に行っていたので、今日は別なところに行こうかなということで東京駅の丸善に行くことにする。

によると二位らしい。ちょっと前にもっと無尽蔵にでかい本屋があるんじゃないかと思ったけれども池袋のジュンク堂が一位なのかと思ってへー少し残念と思ったことがある。
 東京駅。東京駅の丸の内口と八重洲口ってどっちがどっちだったかいまいち覚えてない。東京生まれなのに。高校生や大学生の頃、コミケに行くために東京駅から出るバスに乗ってビッグサイトに行っていた頃(バスが一番安いため)は果たしてどちらから行っていたっけ。たぶん八重洲口だと思う。
 そこで丸善があるのが丸の内口だということを知る。あー、よく夜の東京駅の写真がアップされてるほうか。はい。そっちが丸の内口なのですね。
 歩いて丸善まで行く。
 丸善。エスカレーターに乗って三階まで行く。吹き抜けの広い建物って上から落っこちちゃいそうでスペクタクル。
 三階に着いて人文の棚を見ていく。面陳(本の表紙をこっちに向けて並べられている陳列)されている本が結構あって目に楽しいという印象。やっぱりいつも同じ本屋に行くんじゃなくて違う本屋にはいかないとだめだなあと思う。知らない本屋には知らない本があるし、知らない本棚には知らない本の並べ方がある。知らない本屋の知らない並べ方によって、知らない本を手にとって見ようという気持ちになるのではないか。
 わたしはだいたいいつも哲学の棚と社会学の棚と民俗学の棚と宗教の棚のあたりを見ている。発売されたばかりのロシア宇宙主義が気になる。
 居場所やコミュニティというキーワードが前から気になってたけどやっぱり気になる。
 魔女、というか欧州の民俗学が気になっている。クリスマスの来訪神の話やハロウィン。
 哲学は難しくてよくわからない。
 漫画に使われているフォントの勉強をしなくてはいけないと思うのだけれども何の本を見ればいいのかわからない。
 食の話。
 若者の話。
 田の神の写真集が二冊ぐらいある。田の神もいつか見に行きたい。
 最終的に流行神の本とクジラの本を買う。流行神の本は東京大神宮の賽銭箱の一番左の賽銭箱がご利益があるという非常に具体的な話が載っていたので興味を引かれる。あと流行神という概念が好き。
 クジラの本はスケールアヴィエーションで反重力漁船の話を書いてるから。捕鯨銛の奉納の話が載っていたので購入。
 丸善を出る。空はすっかり暗くなっていて東京駅がライトアップされている。きれいだ。写真を撮る。みんな結構東京駅の写真を撮っている。駅前の広場も実に広々としている。どうしてこんなに広々してるのだろうか。誰かの所有なんだろうか。
 植樹の周りが座れるようになっているので座る。みんな座っている。空気が気持ちがいい。一年で一番気持ちのいい夜の季節。
 こういう風が吹いていると、風につられてみんなふらっといなくなってしまうんだろうなという気がする。どこかへ蒸発していってしまうのに具合のいい夜。電車に乗って、遠くの方の、自分のことを知っている人が誰もいない町に行ってしまう気持ちに一番なれる。
 空も広い。ここに吹いた風も、たぶん遮られることのないまま遠くまで吹いていくのだと思う。
 怪我をした人がいるのか、救急車の回転灯がずっと回っていて赤い光がある。救急車はやがて走り出していなくなってしまう。救急車がいなくなると、光の感覚が少しさみしくなった。
 ご飯をどうしようか迷う。食べていないのでどこかで食べないといけないが、基本外食が苦手なのでこういうときに困る。
 東京駅を満喫したので神田の方へ歩いて行こうと思う。