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井上明人『中心をもたない、現象としてのゲームについて』

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〈ゲーム〉は私たちの認識を揺るがし、問いを与え、示唆をもたらす――人間の生み出した「遊び」の原理を追及する現代の遊戯論。
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2023年12月の記事一覧

中心をもたない、現象としてのゲームについて 第38回 第5章-4-5循環のバリエーションを考える:4つの観察モデル|井上明人

井上明人 中心をもたない、現象としてのゲームについて 第38回 第5章-4-5 循環のバリエーションを考える:4つの観察モデル5.4.5.1 共通の性質をもったものたちは、どこまで同じものか? さて、少し話の論点が増えてきたので、話をあらためて整理していきたい。  ここまで大雑把に、逸脱と循環の双方があるようなプロセスについて述べてきたが、逸脱と循環の双方の側面を持ちうるようなプロセスとして、いままで挙げてきたものは次のようなものだった。 ・プロスポーツ選手による、上達戦

中心をもたない、現象としてのゲームについて 第37回 第5章-4 「循環」概念をめぐって|井上明人

井上明人 中心をもたない、現象としてのゲームについて 第36回 第5章-3 遊び-ゲーム領域の連結現象はどう起こっているのか?第37回 第5章-4 「循環」概念をめぐって5.4.1 遊ぶ/遊ばれる  「循環」概念は、遊び-ゲームをめぐるキー概念の一つである。  そして、おそらくこの、遊びの「循環」をめぐる現象は遊び-ゲームをめぐる多様な現象を、一つの現象のような形で統合させている主犯の一つであろう。  遊び-ゲームをめぐる循環の問題は、特にドイツ系の遊び-ゲームの論者(お