Willy OES

全米一危険な某州立大数学科准教授。統計学PhD。かつては日本の金融機関に勤務し適度に激…

Willy OES

全米一危険な某州立大数学科准教授。統計学PhD。かつては日本の金融機関に勤務し適度に激務をこなすが現在は"r"の付く月しか働かないライフバランスに優れた生活を送る。

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    米国から、日本と米国の社会問題について考える。

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米国大学教員が親として見つめた米国大学入試

米国生まれの娘がこの夏に高校を卒業し、秋からイェール(Yale)大学に進学します。娘は、スポーツ推薦、レガシー、大学への寄付、教職員子弟の優遇枠、高価な課外活動とは無縁のごく普通な現地公立高校の生徒でした。親として、また分析屋として娘の受験を通して米国大学入試、特に有名大入試について理解したことをまとめ、今後米国の大学を受験しようとする方たち、その保護者の方たち、および受験に関わる方たちの参考にしてもらおうと思いこのノートを書きます。 目次 そもそも米国大学入試とは何なの

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    • 日本政府はなぜ円安を放置しているように見えるのか?

      4月末に一時1ドル160円を超える円安ドル高を記録し、インフレを調整した実質実効レートで見る日本円の価値は1ドル360円の固定相場だった1971年のニクソンショック直前を10%近く下回りました。為替の影響によるインフレも進んでおり、マスコミや一般人の間でも日本政府の無策を批判する声が増えてきています。プロのエコノミストの中にも「日本政府はあえて円安に誘導している」と考えている人もいます。しかし私から見ると、政策サイドとマスコミや一般人、エコノミストの間には大きな誤解が生じてい

      • 大学入試を総合型選抜にすると富裕層に有利か?

        日本の大学入試を従来の筆記試験ではなく、米国のような課外活動などを含めた総合型選抜にした方が良いのではないか?と言った意見を多く見るようになりました。一方でそうした選抜では経済的に恵まれた層、社会資本に恵まれた層がより有利になってしまうのではないか?という懸念も聞かれます。日本に住んでいる方には、教育の機会格差が大きい社会というのはちょっと想像するのが難しいと思いますので、米国の現状から考えた日本に総合型選抜を導入した場合の未来図をご紹介したいと思います。 総合型選抜にする

        • 予測市場から読む世論とオッズの読み方

          大統領選が11月8日に行われるので、ご存知の通り今年の米国はその話題で持ちきりである。つい2週間ほど前にはマスコミが「トランプ氏が追いついた」と報じ、今週はまた別のマスコミから「クリントン氏がリード」と報じられている。こうした調査はどの程度信頼できるものだろうか。世論調査には、選んだサンプルの偏りによって正確な数値が出ないことがままあるし、マスコミ自身のバイアスによって自ら偏りが作られているケースも考えられる。 過去の実績では、世論調査よりも一般人に選挙結果について賭けさせ

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          日本人の米国大留学がペイしない理由

          グローバル化が進み米国の大学に大量の外国人が押し寄せる中、近年日本人の米国留学が減っている事が話題に上る事が多い。下のグラフを見れば、留学する年齢層の人口減少以上に米国への留学生が減少していることが見て取れる。 この現象について日本のマスコミは「若者の内向き志向」などと繰り返し若者を批判してきたが、むしろ原因を国内的な要因に無理矢理帰結させることの方が「内向き」な姿勢と言えるだろう。 結論から書こう。日本人の米国留学が減っているのは、単に経済的にペイしないからだ。そしてペ

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          海外就職に必要な英語力とは〜その1

          このブログの読者の中には「アメリカの大学で働くWilly氏は英語が得意だろう」と想像している方もいるかもしれないが、おそらく私の英語力を知ったらひどくがっかりするだろうと思う。それではなぜ、たいして英語の出来ない自分がずっとアメリカで働けているのかと言えば、一番大きいのは仕事による要求水準の違いがあるからだ。 私が低い英語力で米国で大学教員をできているのは、統計学という分野がそこまで英語力を必要としないからだ。私の専門分野に近いところでは、米国の大学で教員をする場合に必要と

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