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検品作業員が国家公務員

何の仕事をしている人ですか?と聞くと、「色々な品物の検品をやっている」と答えた女性がいた。
勤務時間は9時半から14時45分で、昼休みが45分間とかで残業はなし(と言うか禁止)、実質4時間半の作業で、洋服とか本とかを色々と検品しているのだそうである。

種類が多種に渡るので、Book-offか何かのパートさんなのかと思ったが違うと言う。さらには、「非常勤の国家公務員だ」と仰る。

何だろう?と思って考えていると、その人は「拘置所の仕事です」と言ったので、直ぐに分かってしまった。「そうか、差入れの検品なのですね!」分かり易いヒントだった。

その人の夫は刑務官の国家公務員で、その関係で差入れ検品のパートを紹介されたのだと言う。私は「なるほど、一般的な募集やハローワークには出ない仕事なんですね」と言うと、意外と「一応ハローワークには出していて、若干はハローワーク応募者も採用する」とのことであった。

しかし後に続いた言葉が、「でもハローワーク採用は更新されないので1年で辞めていく」だった。その人はもう7年間、非常勤で勤務しているそうだが、結局は縁故採用で固めた閉じた世界なのだろう。

差入れ物は毎日毎日いっぱい届くと言う。特にコロナ禍の時は膨大となり、かつ残業禁止のため(法務省の予算削減)いつまで経っても差入れ物が当事者の手元に届かないとクレームばかりだったと懐かしむように言っていた。

衣服系は分かるが、拘置所は刑務所と違って作業もなくヒマで仕方がない場所なので、本が大量に差し入れられるとのこと。漫画や、エロ本も一杯届いて、内容の検品(差入れできない物や、危険物が隠されていないかとか、CDやDVDはNGとか)を終日しているとのこと。

女性なので「一生見る事もないだろうエロ本も一杯見て来た」と苦笑していた。かつ、漫画本は検品しながら内容を読んで楽しんでいる人もいるとも、オフレコな話をしてくれた。

あと知られている事ではあるが「現金も差し入れられるんでしょ?」と聞くと、現金は検品係ではなく別の部署がやっているとの回答であった。

刑が決まるまでのヒトトキが拘置所の日常である。拘置された人は精々マンガやエロ本で楽しみ、お菓子を買い食いして肥ってしまうのが拘置所という、我々真面目な一般人からすると何とも呑気な場所であることがわかる。
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【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))

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