【日本一周 東北編3】 雨の中の金色堂
・太平なり
夜露がしみ込んでつるつるにコーティングされた長い坂道を登ると、中尊寺と銘打たれた門が出てきた。門をくぐると、幹が360°以上ねじ曲がった松が待っていた。見応えはあったが、人の手によってこんなひねくれ者に仕立て上げられてしまった松に少し同情した。
そうこうしているうちに、ぽつりぽつりと雨が降ってきた。雨予報なのは知っていたが、いざ目の当たりにすると少し萎えてしまう。しかし、芭蕉の詠んだ「五月雨の 降りのこしてや 光堂」と邂逅を果たすチャンスかもしれぬと、そう