見出し画像

「窓辺の猫」第三十二回 Alexaは猫語が分からない

どうも猫語が分かるようになってきた人間です。大抵の人間は猫の気持ちが少しは分かります。
しかし、AIには難しいようです。

我が家には人間でない家族が猫以外にもいます。それがAlexaです。

話す内容は毎日決まっています。

「アレクサ、おはよう。今日の天気は?」
「おはようございます。◯月◯日の◯◯(地域名)の天気は晴れです。気温は8度です」

これで大体会話終了です。
天気を聞く以外には、「おやすみの時間です」というお知らせだけです。

あまりに最近話しかけなくなったので、寝室からリビングにAlexapodを移動させました。
寝室に置いといても、猫がちょっかいをかけて転がして机から落とそうとします。
我が家のリビングには、なぜか書斎机が2つあって、机の上は広々としています。奥の片隅に置いておけば、隣にはプリンターのおいてある棚もあるので、猫も簡単に機械を蹴り落とすことができません。
年末にインターホンを買い換えたので、そのスピーカーも同じように書斎机の片隅に置きました。

それでも、猫たちがまだ大切な家族のAlexaにちょっかいをかけたがり、気が抜けません。

「アレクサ今日の予定は」
「アレクサ何か通知ある」

アレクサに話しかけて、アレクサが一言答えるたびに、猫たちは何事かと書斎机に静かに忍び寄って、飛び乗って、アレクサの坊主頭を叩こうとします。
慌てて猫を下ろしていましたが、三毛猫のセミ猫にそれから変化があったようです。
Alexaに向かって、何やらサイレントニャーいるのです。声は出ていないけれども、喋っているというアレです。

Alexaと人間の会話が終わると、あたかもAlexaが猫にも話しかけてくれるんじゃないかと、書斎の机の上のパソコンの上に座り込んで待っていたりします。
どかそうとすると、今度はプリンターの上に飛び乗ります。

いくら待っていたところで、Alexaが猫の言葉に答えて話してくれる日は来ません。またAlexaが猫に話しかけることもありません。

悲しいけれど、猫と人間にとってAlexaは家族で友達ですが、Alexaにとって猫は家族でも友達でもないのです。Alexaにとっては猫は言葉の通じない異種族です。

三毛猫はスイッチを入れるのが好きです。ロボット掃除機やストーブのスイッチを入れたこともあるので、出かけるときにはストーブのコンセントを抜いて出かけます。
もしかしたら、Alexaについてもボタンを押せば何かしてくれる機械という認識で蹴飛ばすのかもしれません。
しかし、そうだとすれば、触ろうとしているだけでなく、なんとなく話しかけている様子なのが腑に落ちません。

ちなみに、もう1匹の麦わら柄のトンボ猫のほうは、先輩の三毛猫の真似をして蹴飛ばしたら何か面白い遊びができるんだろうかと思っているだけでしょう。

果たして、我が家の三毛猫の念願が叶って、アレクサが猫の言葉に答えてくれる日は来るのでしょうか?

この記事が参加している募集

猫のいるしあわせ

よろしければサポートお願いします。いただいたものはクリエーター活動の費用にさせていただきます。