見出し画像

花の会社を立ち上げた理由

2018年度5月、株式会社Mawiを立ち上げました。
この会社は「花の価値を拡充・拡張する」ことをミッションとした花のための会社です
僕は今の社会において、もっと花の価値が伝わるべきだと考えています。
日本は花業界の偉大な先人たちによって、多くの人が当たり前に良い花を楽しむことができる環境が整っている。
だからこそ、花の大きな価値を考えると、まだまだ可能性があると思います。

その可能性に触れる前に、僕がMawiを立ち上げようと思った原体験について書いてみようと思います。

初めて花を贈ったのは高校3年17歳の夏。
僕はイギリスの美大への進学を目指していたこともあり、夏休みを利用してロンドンの語学学校に通うこととなりました。
当時の自分は若さ故の猪突猛進な行動力があり、後先考えずとにかく海外に飛び出し、でも初めての1人海外で、着いた瞬間にホームシックになり、その晩にはもう「帰国したいって親に言おう。イギリスの大学進学も諦めよう。なんて言い訳しよう。」と考えて枕を涙で濡らすという情けない感じでした。
しかし、翌日憂鬱な気持ちを引きずりながらとりあえず学校に行くと、その学校には喫茶店があり、そこでメチャクチャ可愛いイギリス人の女の子がバイトをしていました。ホントに可愛くて、みんなから陰で"Angel"と呼ばれていて、学校のアイドル的な存在でした
僕は一発でAngelに惚れてしまい一瞬でホームシックは吹き飛び、その日からAngelに会うために学校に行き、Angelを口説くために英語を勉強するようになりました。(I`ve never seen such a beautiful woman like youとか言っていて中々の黒歴史なのですが)
でも英語も拙くパッとしない自分は中々相手にされず、ちょっとした雑談以上の関係に進まない。帰国日も迫ってくる。
そんな焦りの中、語学学校に向かう途中、花屋が。
日本では恥ずかしくて買えなかったかもしれないけど、帰国も迫ってるし、周りに日本の知り合いもいないし、とにかくAngelにアタックするんだ!と思って、花束を買って、ダメ元でプレゼントしてみました。

そしたらAngelは今までが嘘みたいにメチャクチャ喜んでくれて、それこそ映画で見たような外国人の女の子の凄いオーバーなリアクションで歓喜してくれました。そして僕はそのままAngelをバイト終わりにデートに連れ出すことに成功したのです。(周りの生徒が「え?何であいつがAngelを!?」と羨む目で見る中、彼女を連れ出した時の優越感は忘れません。笑)
しかも、周りには茶化されるかなと思ったら寧ろ皆んな拍手して祝福してくれました。
その空間・その瞬間はなにかとても特別な感じがして、「花を贈る」ってただモノをあげるだけじゃない、素敵な体験なんだということを知りました。

このとき贈った花は、今思うとフツーのデザインだったと思います。
花の頼み方もわからなかったし、とにかく振り向いて欲しくて、勢いで買いました。でもAngelのことは心から想って買いました。
花はこれが大きな価値だと思います。
何もしなくても在るだけで美しい上に、いろんな品種や色があって、それを見ながら「あの子は何を贈ったら喜んでくれるんだろう」「こんな想いが伝わると良いなぁ」って相手に想いを馳せて選ぶ。
想いが反映された唯一無二の美しい贈り物ができる。
そんなプロセスを経た花はただのモノではなく、コト=体験だと思います。

でも、自分の周りの友人は「花屋って入りにくい」「どうやって注文すれば良いのかわからない」って二の足を踏む人がたくさんいます。
花が好きだっていうと色んな人が相談してくれるので、一緒に花屋に行って買うのを手伝ったりすると、「恋人がめちゃくちゃ喜んでくれた!」「ジュエリーより嬉しいって言ってくれた!」って言ってくれる。
なかには「自分で贈ったら、自分も花良いなと思って自宅に飾るようになったよ」とかいう人も。

花は美しいと思う。
また別の記事で書こうと思うけど、僕はこの原体験以外に、花と本気で向き合うアーティストとの出会いによって、プレゼントとしての価値だけでなく、花の命が故の美しさを強烈に感じるようになりました。
花にとっての幸せは不可知だけど、対価として命を頂いているなら、その価値を最大化しなければいけないと思う。
愛しのあの子にアタックしたくて一生懸命考えた花を贈って、贈った方も贈られた方も、その光景を見た人まで嬉しくなっちゃうような花のプレゼント。
ふとした拍子に、飾ってあるお花の美しさを感じて、「あ、きれいだな」ってシンプルに感じること。
すごく世話になってる取引先に、ちゃんと血の通った贈り物をして、心から感謝を伝える。
そんなシーンを当たり前にしたい。
そう思ってMawiを立ち上げました。

ここからは少し余談ですが、
Angelへのアタックから10年経って、僕はその時の原体験から花の価値を伝える会社を立ち上げ、社名に彼女の名前を使おうと考えました。
だけど自分の発音をグーグル先生に聞いても、綴りがでてこない。
Facebookの名前を改めて見ると、"Mairi"と書いてある。
これで"マーウィ"と読むのかな?と調べてみると、グーグル先生では"メイリー"と表示が。
なんと僕は英語ができなさすぎて、本当は"メイリー"なのに"マーウィ"と10年以上勘違いしていたのです。好きな子だったのに。
でも僕にとってはマーウィだったから、綴りをMawiと勝手に決めて、これを会社の名前にしました。
あの時の素敵な体験をより多くの人が享受できるように、そしてそれによって花の美しさがもっと知られるように、花への想いを大切にしながらも強かに事業をつくっていきたいと思います。

どうか応援してもらえると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?