週末図工室

おはなしの中から抜け出してきたような物作りが好きです。基本、週末に、役にたたない物ばか…

週末図工室

おはなしの中から抜け出してきたような物作りが好きです。基本、週末に、役にたたない物ばかり作っています。

最近の記事

人間と他の生物の違い

      • 小屋(2)

         サラがよく通る道沿いに、この小屋はあった。目にする度、気になり(いいな)と思っていた。ある日、偶然小屋の持ち主に出会った。サラは思い切って言った。「この小屋を貸してほしい。」と。  持ち主は快諾した。  そして「自由に手を入れていいよ。」とまで言ってくれた。  「ただ・・・。」持ち主は言った。「農具は捨てないでくれるかい?もう畑仕事は無理なんだが、私にとっては大事なものなんだ。」  「捨てたりなんかしません。それどころか、使わせていただくかもしれませんがいいですか?」  「

        • 小屋(1)

          今は使う人がいなくなった小屋。 けれども、蜘蛛の幸せは長く続かなかった。         物事は、いつも移り変わっていく。(つづく)

        人間と他の生物の違い

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        記事

          古着界隈の人たち

          自分で古着を着ることはないのだけれど、古着界隈の人たちが好きだ。

          古着界隈の人たち

          幸せ過ぎてちょっと不幸

          幸せ過ぎてちょっと不幸

          洋菓子店の香り

          バス停の横の洋菓子店。 お店自体が、四角いケーキのようです。 (ジャムおじさんが若かったころ)といった風貌の男性が                       一人で営んでいます。 中に入ると、チャイムの音が響きます。  つづいて「いらっしゃいませ。」    という店主の声は、少年のようなアルトです。 店内はチョコレートと洋酒、小麦粉とバターの入り混じった                       いい香りがします。 最近のケーキ店とは違うような、   子どもの頃の

          洋菓子店の香り

          黄色と緑

          5月も半ば。 水を張った田んぼに、空が写ってきれいです。 山も野原も緑に包まれています。 遠くに菜の花畑が見えます。 群生しているたんぽぽも同じくらいきれいです。

          レトロ珈琲

          昭和の珈琲の思い出。 インスタントコーヒーを珈琲だと思っていたので、 サイフォンで淹れた珈琲を始めて見た時、       透明感のある綺麗な琥珀色に驚かされた。 真っ白な角砂糖。最近見ない。 スマホが家の電話機に取って代わったように、 珈琲に入れる砂糖は、ブラウンの角砂糖や、              スティックシュガーに変わってしまった。 憧れのカフェ・ロワイヤル。 スプーンに乗せた砂糖にブランデーを注いで火をつけ、 それを加えて飲むコーヒー。 ブランデーは敷居

          レトロ珈琲

          青い器

          結婚した時、自分で選んだ器を少しずつそろえていこう、                        と楽しみにしていた。 ところが、親戚のおばさんが、食器一式を見繕ってプレゼントしてくれた。 どの器も4客セットで。 「ありがとうございます・・・・。」        と受け取ったが、心で泣いた。 それから数十年たつ現在も、 おばさんがプレゼントしてくれた食器を使っているのだが、 その中に青い器がある。 青い小さめの丼鉢。 自分では絶対選ばないタイプの青い器。 作家物でも

          青いスモック

          連休中に、台湾料理を食べた。 初めての台湾料理。 ランチ。 お茶が出てきた。 「甘茶の味がするね。」と私。 「そうだね。似てるね。」と相槌を打つ母。 甘茶をどこで飲んだかというと、保育園だ。 4月8日のお釈迦様のお誕生日で花まつりの日。 たぶんその時に。 保育園や幼稚園って、仏教やキリスト教が絡んでくるイメージがあるけれど いわゆる慈善事業が始まり? 保育園には制服があって、青いスモックを着ていたような気がする。 気がするというのは、さすがに保育園の記憶は朧げで、弟た

          青いスモック

          ミドリのサンタクロース

          緑色の帽子がトレードマーク。 お爺さんではないが、若くもない。 黄緑色のバッグを斜め掛けしている。 バッグの中身は、種。 「ここだ!」 と思った所に、おじさんは、種を播く。 古タイヤや、壊れた洗濯機が捨てられて、  郵便受けに、ダイレクトメールやら、チラシやらが押し込まれている。        どうやら、人は住んでいないようだ。  昔は、住人が丹精込めて花や野菜を育てていた場所も荒れ放題。          おじさんは、種を播いた。     それから、何日も何日も

          ミドリのサンタクロース

          洗濯

          庭にロープを張って、洗濯物をかけた。 気分は、アーリーアメリカン。

          半径5m以内

          カメラを持って、家の周りをぶらり。      お日様みたいに咲き誇るタンポポ。       チューリップ。       夕方になるとお花を閉じていました。       花も眠るのでしょうか。     フキノトウは、もうこんなに伸びていました。                宇宙と交信しているかのようです。

          半径5m以内

          ねこの手

          ナースコールを押しました。 気持ちが悪くて吐きそうだけど、      私はベッドから起き上がることができません。 けれど、看護師さんは、       すぐに私の所に駆けつけることができないようです。 (大丈夫。) 私は自分に言い聞かせて目を閉じました。 ★    ★    ★     ★ その頃、他の患者さんに対応していた看護師さんは                     胸の内でつぶやきました。 (ああ、ナースコールが鳴っている。でも今は対応できないよ。   病棟は