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祝!宝剣! SAKE COMPETITION2019 最速レビュー

6月10日、SAKE COMPETITION2019の結果が発表されました。
当日速報レビューを書きます!(おそらく最速)

酒販店であるはせがわ酒店が主催し「市場ニーズにそった評価」を行う完全ブラインドのコンペティション。今年は1919点が出品し、「純米酒部門」、「純米吟醸部門」、「純米大吟醸部門」、「吟醸部門」、「Super Premium部門」、「スパークリング部門」、「海外出品酒部門」で「いちばんおいしい酒」が決まりました。

SAKE COMPETITIONの紹介はこちら
https://note.mu/00kub0/n/na8f0d3c020dd 
公式サイトはこちら
https://sakecompetition.com/

とくに出品数の多い3部門をチェックしました。今年も熱かった!


【純米酒部門】宝剣が悲願の純米酒1位!

Data:GOLD 10点/SILVER 43点/予審通過 170点/部門出品数 495点
第1位 宝剣酒造株式会社 宝剣 純米酒 レトロラベル
第2位 有限会社濵川商店 美丈夫 特別純米酒
第3位 宝剣酒造株式会社 宝剣 純米酒 広島夢酵母
第4位 有限会社濵川商店 美丈夫 純米 慎太郎
第5位 合名会社大木代吉本店 自然郷 芳醇純米
第6位 峰乃白梅酒造株式会社 峰乃白梅 純米
第7位 松崎酒造株式会社 廣戸川 特別純米
第8位 今西酒造株式会社 みむろ杉 ろまんシリーズ 特別純米 辛口 露葉風
第9位 合資会社廣木酒造本店 飛露喜 特別純米 
第10位 今西酒造株式会社 みむろ杉 Dio Abita


「市販酒のコンペ」という性質上「酒蔵がもっとも獲りたいと思っている」といわれる「デイリー酒のトップ」には、広島の「宝剣」が1位と3位!

宝剣さんはこの部門を主戦場としており、長年トップ10内にランクインを続けていました。(昨年は10位)
今年ついに念願の1位! しかも銘柄違いで3位も。今年の宝剣の純米酒シリーズは何を飲んでも間違いない証拠です。

昨年、10位入賞したときに土井さん(蔵元さん)にお話を聞いたのですが、「…ゴールド受賞じゃ…だめなんです」と悔しがっていました。積年の思いがついに1実を結びました。
(ちなみに、僕がもっとも好きなお酒のひとつでもあり、ただただ嬉しいです)

また、2位と3位には高知の美丈夫がランクイン。
近年は福島、宮城といった東北のお酒が常連で「甘くてフルーティー」なものが評価されていたのですが、今年は「きれいだけどキレもある」中国・四国が獲りました。

市場の好みもあると思いますが、審査基準がやや食中酒によったのかなとも思います。

一方、昨年GOLDだった写楽、東洋美人、常連の新澤醸造店が見られず。今年はハマらなかったか、甘口系には逆風が吹いたようです。


また、奈良の「みむろ杉」も注目。これまでのスター蔵のひと世代下とされる若手蔵元が上がってきたのはただただ楽しみです。

※トップの画像は宝剣のレトロラベル。「千住かんのん」で昨年いただきました。

【純米吟醸部門】日本を代表する名蔵が続々ランクイン

Data:GOLD 10点/SILVER 52点/予審通過 201点/部門出品数 578点

第1位 合資会社廣木酒造本店 飛露喜 純米吟醸 
第2位 磯自慢酒造株式会社 磯自慢 純米吟醸
第3位 清水清三郎商店株式会社 鈴鹿川 純米吟醸
第4位 株式会社虎屋本店 七水 純米吟醸55 雄町
第5位 清水清三郎商店株式会社 作 雅乃智
第6位 仙台伊澤家勝山酒造株式会社 勝山 純米吟醸 献
第7位 青木酒造株式会社 御慶事 純米吟醸 雄町
第8位 高橋庄作酒造店 会津娘 純米吟醸酒 羽黒西64
第9位 高木酒造株式会社 十四代 中取り純米吟醸 愛山
第10位 今西酒造株式会社 今西 純米吟醸 朝日

最激戦区であり、各蔵の「勝負酒」が集まりやすいこの部門。純米酒よりも評価の「型」が見えやすい分、技術の微妙な差がもろにでると、昨年審査員の方から聞きました。

結果は、コンペの初代純米酒王者・飛露喜が1位に返り咲き! さらに超名門の磯自慢、昨年は「作」でランキングを独占した清水清三郎商店も上位に。最激戦区とあり、実力派とされる蔵がガッチリ上位を固めました。

また、ここで9位に「十四代」が入っているのがいい。レジェンドクラスの蔵と並んで評価されるのは、蔵の人たちにとって本当に名誉なことだそうです。ランキングを超越した存在なのに、きっちり入る(しかも純米吟醸)のがかっこいいです。

もうひとつ、4位「七水」の「虎屋本店」も注目。全国的な知名度はまだまだですが、昨年あたりから上位に入るようになった注目蔵です。
群馬には全国的な杜氏集団がおらず、地域をあげて「下野杜氏」という酒造関係者育成システムに取り組んでいます。虎屋本店の天満屋さんはここの出身。だから、というわけではないのですが、錚々たるメンバーに雑草魂で立ち向かう姿がぐっときます。

【純米大吟醸部門】作が高級路線に?

Data:GOLD 10点/SILVER 40点/予審通過 148点/部門出品数 480点
第1位 清水清三郎商店株式会社 作 朝日米
第2位 小玉醸造株式会社 太平山 純米大吟醸 天巧35
第3位 萩野酒造株式会社 萩の鶴 純米大吟醸
第4位 株式会社土井酒造場 開運 純米大吟醸 波瀬正吉
第5位 株式会社木村酒造 福小町 純米大吟醸 
第6位 株式会社外池酒造店 燦爛 純米大吟醸 山田錦
第7位 酒井酒造株式会社 純米大吟醸 五橋 錦帯
第8位 株式会社湯川酒造店 木曽路 純米大吟醸 山田錦 磨き35
第9位 磯自慢酒造株式会社 磯自慢 純米大吟醸40 西戸
第10位 亀泉酒造株式会社 亀泉 貴賓


「作」がついにこの部門で1位!
一昨年は「純米酒部門」で1位、昨年は「純米吟醸部門」で1位、そして今年は「純米大吟醸部門」で1位と、三冠達成。蔵として徐々に高級路線に進んでいるのでしょうか、どの部門でも絶対にトップになる無双っぷりはマンガのキャラようです。

「純米大吟醸部門」部門はその年の山田錦の出来と、蔵との相性でランキングが大きく上下するといわれているとおり、トップ10内は「作」以外すべてが入れ替わりました。

ちなみに「開運」は一昨年の1位。高級酒に強い蔵がしっかり入っていますね。
今年の入賞蔵はもちろんですが、歴代の受賞酒を見ると、複数回入賞している「高級酒が得意」なところが見えてきて面白いです。

以上、主要3部門のレビューでした。

最後におまけで、海外への輸出を想定した、高級酒「SUPER PREMIUM部門」もニクい結果となりましたので紹介。

【SUPER PREMIUM部門】

Data:GOLD 3点/SILVER 3点/部門出品数 64点
第1位 高木酒造株式会社 十四代 龍泉
第2位 秋田清酒株式会社 刈穂 滄溟海 純米大吟醸 
第3位 清水清三郎商店株式会社 作 智


ここで十四代が1位!!!
同部門はこれまで、「 仙禽 醸」「七賢 純米大吟醸」「来福 超精米」など、普段は純米吟醸などを主力としている蔵がコンセプトをたてて「高級」「海外」路線を狙って造られたお酒がトップに入っていました。しかしここにきて、プレミアム酒の本家本元が獲りました。

実はこの部門、海外の審査員が利いているため、「どの基準で審査しているかわからない」といわれることもありました。しかし、日本中の酒好きが崇拝する十四代が獲ったことでもう誰も文句をいえません。

日本を代表する最強のプレミアム酒として、世界を驚かせてください!


以上、今年の酒コンペ速報レビューでした。


ちなみに、僕は昨年までこのガイド本にたずさわっていました。

今年もぴあ社から発行されるそうですので、注目です。
(シルバー情報や、審査員コメントなど乗っていて、読みながら結構飲めます)

もちろん、お酒を飲みます。