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「杉玉」に1年の願いをこめて 【横浜君嶋屋】の杉玉交換式&みむろ杉お披露目会

「杉玉(すぎたま)」
酒蔵の軒先に吊るされている茶色いボールのことを「杉玉」といいます。
酒蔵さけでなく、酒屋さんや居酒屋さんといった「日本酒で商いしている」ところでも「杉玉」を飾っている場合があります。

実はこの「杉玉」、お酒の神様と関係している、由緒正しきボールなのです。

私の好きな酒屋さんのひとつ「横浜君嶋屋」さんにて「杉玉の交換式」がある(そして酒を振る舞う)と聞き行ってきました!

酒造りの季節を知らせる杉玉

横浜君嶋屋へ到着

見えますでしょうか? この、自動ドアの前に下がっている茶色のボールが「杉玉」です。

杉玉は、酒蔵の「お酒づくりの季節」を知らせるものです。酒造りが始まる秋以降、青々とした緑色の杉玉を軒先に吊るし、周囲に「酒造りはじめました」と伝えます。それから、酒造りが終わる春にかけて、蔵のお酒が熟成していくのにあわせるかのように、杉玉も茶色に変色していく、というもの。

ですので、君嶋さんのように「酒屋さんでも毎年取り替える」ということは知りませんでした。

奈良から新酒と杉玉がやってきた!

店内はクリスマス仕様になっていました

今回、横浜君嶋屋さんに「杉玉」を持ってきてくれたのは、「みむろ杉」の銘柄で知られる奈良県の今西酒造の蔵元杜氏・今西さん。

なぜ今西酒造さんなのかというと、今西酒造のある奈良県三輪は「日本酒発祥の地」として知られており、この地にある「大神神社(おおみわ)」は日本最古の神社であり、同時に杉玉発祥の地として知られているのです。

振る舞い酒の準備

今回の会は、大神神社でつくった杉玉の交換式を、同じ地で酒を醸す今西酒造さんの新酒おひろめと一緒にしようというものなのです。

君嶋さん「こういう試飲会のような取り組みも、この2年はまったくできなかった。ようやく少しできるようになりました」

今西さん「今期いっぱつめの新酒・おりがらみを持って奈良からやってきました。今年もおいしいお酒ができましたので、ぜひお楽しみください」

乾杯!フレッシュな新酒はおいしいです。

できたての「杉玉」が登場

大きめのスイカくらいのサイズ、色は緑色です。

本題の杉玉が登場。大神神社の職人が作っているそうです。ひとつに大量の杉の葉が使われており、結構「みっちり」した印象です。

今西さん「酒の神様が宿っている『三輪山』は、杉の木に囲まれています。毎年、大神神社の職人さんがその杉を使って『杉玉』を作ります。われわれ酒蔵や酒屋さんたちは軒先に杉玉を飾ることで、『おいしいお酒ができますように』『商売繁盛しますように』と願掛けをしているんです」

毎年、杉玉の本家・大神神社では多くの杉玉が作られ、全国の酒蔵に届けられるのだそうです。

重っ!

新しい杉玉を持たせてもらいました。ずっしりときます。そして詰まっています。

ちなみに「大神神社」は「おおみわじんじゃ」と読みます。そして神様に捧げるお酒「御神酒」も、昔は「みわ」という読みだったそう。

「神さま」が「みわ」で、「みわ」が「お酒」で、「お酒」が「神さま」…

なんかよくわからないですが、そんな由来のありまくる場所が、今西酒造のある「三輪」ということです。すごい、はじめて知りました。

この日、君嶋屋さんでは、クリスマスツリーの横に「お神札」と「新酒」が並びました。全体的に縁起がいいです。

「交換式」新しい杉玉に願いを込めて

「おおっ、新しい杉玉より軽い!!」と興奮の君嶋さん
交換完了!!

青々とした杉玉が無事に設置されました。

大神神社からいただいた杉玉は、酒屋さんにとっては神聖な存在です。
みんなで二礼、二拍手、一礼します。

ちなみに、大神神社でつくられる「本家」の杉玉には、このような札がついています
すごいデキャンタだ

交換の後は、もう一杯「みむろ杉」が振る舞われました。

この後、時間のある人は徒歩5分のライブハウスへ移動。君嶋さんはWINOSというバンドで出演されるとか。いいなぁこういう楽しそうな大人たち。お酒がますます美味しくなりそうです。

今西酒造の今西さん。新酒のお披露目ありがとうございました!

新しい年は、またみんなで楽しく、お酒を交わせますように。

もちろん、お酒を飲みます。