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「量り売り」の時代がきた!日本酒を1合で買ってみたレポート(大塚・地酒屋こだま)

日本酒の瓶って、重いです。場所もとります。一升瓶(1.8リットル)とかだと、そもそも冷蔵庫に入らなかったりします。

そんなお酒の悩みを解決するのが「量り売り」。いろいろなお酒をちょっとずつ買えるという夢のような取り組みがすでにスタートしているのです。

2020年6月より、お店で扱うほぼ全種類の日本酒で量り売りを始めたという大塚・地酒屋こだまさんで「量り買い」をやってきました。

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(容器はとりあえず家にあった瓶と水筒を持参しました)

試飲可能の酒屋さん「地酒屋こだま」へ

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東京・大塚にある地酒屋こだまさんに到着。ほぼ全種類試飲可能というすごい酒屋さんです。造り手としっかり向き合い、心から応援したいというお酒だけを扱っている、「こだわりの酒屋さん」として信頼しています。

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(10周年おめでとうございます)

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左が店主の児玉さん。右の胸板がすごいのがスタッフの二戸さんです。では、早速量り売りをさせていただきます!

地酒屋こだま、量り売りの方法

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・対応するお酒:ほぼ全種類(一部入荷が少ないものは不可)
・容器:持ち込み可。ない場合は300ml瓶110円で購入可
・価格:四合瓶料金で換算して1.2倍
・量:1合(180ml)から。1合の倍数または300ml

1.お酒を選び、購入量を決める

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2.容器を「共洗い」をする

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私の持参した容器はいずれもOK。特にルールはなく、洗っていれば(自己責任)ペットボトルでもなんでもいいのだとか。

容器に購入するお酒を少し入れ、一度中を洗います。「共洗い」というそうです。容器に残っている香りを、これから入れるお酒にするのだそう。

3.購入量を瓶に注ぐ

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ここからは秤を使って、指定量分入れます。

4.ラベルのメモを書いて完成

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1つ1つ、お酒の名称やスペックを書いてくれます。「ラベルを見ながらのむ楽しみはできないけどね」と児玉さん。これ(手書き)、むしろうれしいです。

では、ここからは日本酒の量り売りのメリットをいくつか紹介します。

量り売りPOINT①あれもこれも選べる

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720mlって、結構多い&重いんです。だから僕が酒屋さんで買うのはだいたい四合瓶1-2本位。対して、お店の人に説明してもらって「気になる!」というのは5-6種類。つまり、いつも何本かを諦めているのです。

でも量り売りなら、つまみぐい感覚で気になるものをちょいちょい選べるのです!実際こだまさんでは気になるお酒を「少量ずつ」買う人が多いそうです。

量り売りPOINT②一升瓶限定のものも買える!

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日本酒って「一升瓶(1.8リットル)」単位でしか買えないということも結構あります。このサイズを家庭用冷蔵庫に入れるってハードルが高いもの。酒屋さんで僕が聞く質問の上位に「これ、四合瓶ありませんよね…?」があるくらいです。

しかし、量り売りならば瓶のサイズは考えなくてもいい! 今回は本数が少なく一升瓶しか製造していない「ロ万」(花泉酒造)の生酒を選びました。

※地酒屋こだまは基本的に四合瓶・一升瓶両方揃えています。

量り売りPOINT③飲み比べセットが自分でできる

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せっかく一合ずつ買えるのであれば、やってみたかったのが「同じ銘柄の飲み比べ」です。日本酒はスペックや造りによって結構違う物。なのに、買うときは「1本はこの銘柄だったから、もう1本は別のにしよう」と思ってしまうのです。(または1本買って満足)

一合購入なら、同じ銘柄で「味比べ」ができます。
それも、お店よりも安く、種類豊富に!

しかし児玉さん曰く「いまのところ、飲み比べのような買い方をする人はまだ少ないですね。僕もいいと思ったのに…」とのこと。

なので改めて、家でお酒のスペック飲み比べできるのは熱いですよ!

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(そして買ったロ万シリーズ)

ちなみに、飲み比べとして買うと「大吟醸」のようなハイスペックも入りましたが、普段は買いません。高いお酒を少量だけ買えるのも、本当にありがたいです。

量り売りPOINT③酒屋さんの「秘蔵酒」も買える!?

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「実は、これがやりたかった」と児玉さんが話すのが、お店で独自に保管している熟成酒の量り売り。

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この棚の奥に、ひとつ違う種類のお酒があることがわかるでしょうか?

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または、冷蔵庫の隙間にねじ込まれた瓶。

これらは、「今売る」用ではなく、店主の児玉さんが大切に保管していた「長期熟成酒」たちなのです。これまで日本酒の会などでお披露目していたというこのお酒たちも、量り売りができるのです。

熟成酒好きにとっては、かなりうれしいサービです。個人ではできないしっかりした管理、かつプロの利き酒による「絶対美味しい仕上がり具合」のお酒を選べるのです。

※熟成酒については週ごとに購入できるものを変えているそう。

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秘蔵酒に書いてくれたラベル。蔵で寝かせて、お店でも寝かせて…なので(たぶん)8年熟成です

量り売りは結構大変!

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実際に量り売りをやっていただいて気づいたのは、結構手間(お店の人が)だということ。

「思った以上に大変でした(笑)。スタッフがいるときはまだいいのですが、お店にひとりしかいないようなときは、お客さんを待たせてしまっています」(児玉さん)

普通ならただレジで支払いのところを、容器をとも洗いして、測って入れて、ラベルを書いて、さらに金額の計算をする……なかなかの作業です。販売価格1.2倍で足らないのでは…と感じます。

「まあ、もともと『ほぼ全種類試飲可』としていましたので、ひととおり開栓はしています。なので前々からやりたいとは思っていました」

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「でも、飲食店さんの邪魔はしたくなく、見送っていたんです。しかし最近の自粛の影響で、飲食店さんもお酒を販売できるようになりましたよね※」

※期限付酒類小売業免許

「それならば、飲食店さんの邪魔にはならないだろうと思ってね。そもそも、僕の主宰の『お酒の会』ができず、秘蔵のお酒をお披露目する機会がなくなっていたんです。そのストレスを発散したかった(笑)」

ちなみに量り売りのお酒は、生酒や火入れに関係なく1週間以内の飲みきりをお願いしているそうです。

「問題は衛生面ですよ。うちはお客さんの持参の容器は自己責任としていますが、瓶から瓶に移すと、どうしても菌の影響がでるもの。それこそ火落ちになる可能性も。

だから衛生管理に気を遣う酒蔵さんではやっていなかったんだと思いますよ。しかし、江戸時代とかの文献を読むと、量り売りは普通だったそうですけどね」(児玉さん)

酒屋さん=酒を売るだけ、ではない!

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今回は、僕個人が非常に好きな酒屋さんのこだまさんの活動として紹介しました。

量り売りをはじめている酒屋さんは、現在少しずつ増えてきています。他にもみずからイベントをしたり、角打ちを展開したり、はたまたお酒造りに取り組んだりするお店などなど……新しい取り組みはいろいろなところで。

いま、日本酒は蔵だけじゃなくって、売る存在である「酒屋さん」もとても面白いのです。


https://sake-kodama.jimdofree.com/


もちろん、お酒を飲みます。