ジョーズマン2号(三軒茶屋)日本酒界のスターたちが通うお店

食べログ3.06(2018年12月)。

飲食店ひしめく三茶で、決して口コミが目立つお店ではないが、日本酒好きならたまらないお店がここです。

日本酒業界の錚々たるメンツ(四谷の元会員制の店、恵比寿の人気立ち飲み日本酒、下北の気鋭の地酒専門店、さらには業界を牽引する酒販店の社員さんらも…)がここでお酒を楽しんでいると知り、いつか訪れたいと思っていました。

まず、このnoteでいう(=僕の思う)、いいお店(=ささるお店)のポイントを。

・店主がヘン

これのみ。「こいつやべぇ」と受け手をワクワクさせる、唯一無二の「変人」のお店に、僕は非常に惹かれます。「この店、この人でしか得られない体験(=一般人にはできない変態的なもの)」こそ、お店を好きになるか否かなのです。

それでいうとこのジョーズマン、しょっぱなから「ジョーズマンにしかないお酒」があります。その名も「クラフト燗」!

画像1

金寶自然酒。かすかに赤みを帯びたこの色は、たるで寝かせたことに由来しているそうです。都内ではここと神泉の熱燗専門店「ガッツ」でしか飲めないという貴重なオーガニック酒を、ジョーズマンでは「一度外に出し、燗につけて瓶に戻し、冷やす」という工程を経て、独自の「クラフト燗」として提供しているそうです。

もちろん蔵元・仁井田本家お墨付き。ワイングラスでいただくと、これがもう驚くほど滑らかで、甘み、旨みが口の中にジュワーっと広がる。そして余韻はしっかり。店長曰く、クラフト燗にすることで角が取れてよりまろやかになっているそう。おつまみとしてでてきた(あ、ここはペアリングコースがおすすめです。もちろんアラカルトもあります)なめろうを口に含み、追いかけるようにお酒を流し込むと、魚介のオイルとたるの香りがマッチし、なめろうの旨味を酒の甘みが押し広げてくれます。

この「おいしい」は、これまで知らなかった味わい。正直なんかよくわからんのだけど、口のなかで食べ物とお酒がひとつになるんです。

画像2


続いて、お刺身にあわせるのはワイン? 日本酒? いや、その「ブレンド」です。日本酒は海の酒造として知られる京都「向井酒造」の「伊根町夏の思い出」、ワインは奥野田ワイナリーのスパークリング。

ごはんとブドウ…同じ日本産とはいえおもわず笑ってしまうオリジナルカクテル(?)も、飲むと笑ってしまうほど調和している。

・「夏の思い出の甘酸っぱい酸味、穀物由来のコク」を、「ワインの爽やかな果実味」がきゅっとまとめる。発泡があるため後味はあくまでクリア。魚の旨みをぎゅっと引き出し、スパッと切る。つまみの味をあげたりきったり、やりたい放題な味です。

もちろん「そのまま飲んだがいいじゃん」というのもわかる。(独自ブレンドなどというと、必ずそういう意見がある)。実際単品も美味しいんだろう。でも、普通は考えないようなブレンドにチャレンジし、ここのお店でしか味わえない体験をくれるのは、純粋にありがたくてしかたないのです。

ブレンド酒は「日本酒」と「ワイン」だけのコラボじゃない。飲食店の人の創意工夫と変態さがあってはじめて生まれるものなのです。これがなければ家で原価で飲んでますよ。

画像3

そして締めが(はしょってます)ごはん。豪華ないくら丼です!大抵の日本酒のコースは「軽い→重い」「甘め→穀物系」へと移行していくのですが…ここでまさかの貴醸酒「来福MELLOW」。これ、完全なデザート酒でしょう。しかし、もう笑ってしまうほど合うんですよ。わけがわからない。

「これは経験や感覚というより、計算です。いくらのオイルの成分と貴醸酒の味の成分が非常に近いのです。だから絶対に合う」
と店長。もうおかしいよこの人。何やってんですか。なんでかわからんけど合う。貴醸酒でほかほかご飯がとまらなくなる。店長のくりだすペアリングにいいように遊ばれています。

お酒のペアリングではよく甘い・辛い・酸い・苦い・塩辛の五味と聞くけれど、今日は「オイル」の面白さを教えてもらいました。

ちなみにジョーズマン2号、ペアリングコースでひとり5000円程度と、おどろきの安さ。ありがたい反面「もっと取ってください」となる。

店長、またお邪魔します。もっともっと狂った食べ合わせを教えて下さい。



もちろん、お酒を飲みます。