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光路本線帰宅を助ける

蓋をされたような真夜中で、
微かにこだまするのは、真夜中の汽笛。
白い躑躅が囲む駅。

夜闇を掻き分けて進む照明に、
壮大な救いを感じたけれど、
肝心の客車には、誰もいない。

優しく扉は開かれる、あなたはいない、
それでも孤独な光ヶ丘に向かって、
行くよ。列車は行くよ。

あぁ、光路本線、光路本線、
どうか帰宅を助けて。
窓に映るのは、無理に忘れた過去と私の顔。

カタンゴトトンと線路を駆けて行く、
3両の光路本線、息をする。
満月の夜さえも無視しつつ、君を助ける。

光路本線、光路本線、
あるべき車庫へと帰っていく。
世界が終わるその日にまた、ここに来て。

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