朝の体勢

毛髪に指を絡ませ
君の寝息が耳に吹きかかる
車窓に朝焼け
一定した心拍が
胸越しに伝わる
感触が愛おしい
僕の腕が君の頭の下にあるのに
君の手のひらは僕の頭の下にあり
不可能図形的な肉の巻きつきが
冷気によって温められ解れ合う
布の擦れる音が肌に直接当たって
落ちるたびに枕は歪み
背骨は軽やかに撓みそれを記憶する
さんざめく樹々の緑に消えゆく
千切れ雲の行方を誰も知ることがないように
この朝が終わ

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夏のクーラーが恨めしい

いつもの大好きな入浴剤でお風呂に入って、

お気に入りの下着だけ身につけて、

とっておきのソファに体を横たえて、

火照った体に当たるクーラーの風は

私の生きた証みたいに大事だった恋人が去ったことの哀しみも

あの人に褒めてもらいたくて頑張っていたあれこれの残骸の虚しささえも

忘れさせてしまうほど心地よかったか

そんな訳はないのに

失っては生きてはいけないはずなのに

私は今日も生きてる

まなつ

空気が冷えて体が底冷えするような冷夏。
きみは泣きながら生まれた。
同じ日生まれた誰よりも悲しそうに。

真夏の暑い日差しのように熱く、
真っ直ぐに育ってほしいという想いを込めて、「まなつ」と名付けられたきみはよく笑うようになった。

わたしはこの歌をきみに聞こえないように歌おう。

きみは電車の座席に座って首を倒し、
窓の外の景色を下から眺めているだろう。

誰もが前を向いて座っているよ

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神さまといたところ

神さまといたころの僕は
いつもあたたかく満たされていた
心配するとかどういうことなのか
知らなかった

昨日も未来も
何にもないところから

ここにやってきた

神さまと一緒に

悲しくなったり
苦しくなることなんて
知らなかった

痛くなったりとか
怒りたくなったりとか
そんなことがあるなんて
ここにくるまで知らなかった

だから急に怖くなった

僕はいつの間にかひとりだった
神さまの

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0716

イチジクの断面
乾燥機
信号機

平平平

Netflix
求人情報
お前の声

平平平

時計
この顔
履歴書

平平平

不正出血
卒塔婆の文字
湧き出る涙

〇〇〇

会いたい気持ち
好きかも
抱きしめて欲しい

〇〇〇

生存戦略
晴れてる日
もっと知りたい

◎◎◎

ログインボーナス
5ドルのシェイク飲みに行きたい、ただ単に

◎◎◎

【詩No.14】 孔雀のダンス

遠く見送った翼は
今頃どこに下りたっただろう
あなたの見る世界は
何で溢れているかな

望まれていることを忘れないで
唄のように時が流れ去っても
私はここでいつでも奏でるから
あなたが生かしてくれたこの身体で

痛みに貫かれる度
あなたに触れられるから幸せでした
だから手を離した
引き受けた悲しみと確かな温度
薄花色に落ちる雨

純粋なものが欲しかったね
手に入れるために嘘で纏ったね

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夜が

やはり夜が鮮明に叩くので
幻などではなく
プール帰りのような
塩素の匂いが
ほんとうだったようです。
星も暗やみも、
このベッドタウンにはとぼしいのです。
叩かれた背中は
おそらく朝にみみず腫れを
こしらえるでしょう。

こわいのは夜でもイノシシでもなく
漂うそこはかとない悪意です。
なぜわたしの周りに
塩素の匂いがするのでしょうか。
布巾の漂白はおとつい済ませました。
しっかりと、いちごの香り

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揺らぎゆく

終わりなく集まってくる炎
そんな冷たい光で
激しく激しく抱擁する
一人でいいから、なんて
瞼の裏で明日を占う
薔薇を染めた血液よ
銀河の砂の一部になれ
歌う月の光に惑い
逢着するは夜の果て
意味なんて通り過ぎて
あなたの背骨に頬ずりする
空を駆ける渡し船
命の息吹をまき散らし
どこまでもどこまでも伸びていくは世界の影
さよならを懐に入れて
衣を愛で染め上げる
震える竜よ
ためらう鳥よ
色彩を覚えた

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感性という麻薬

私のなかの とても美しい絵画は

現実には ラクガキにしかならない

私のなかの とても美しい映画も

現実には 学芸会のようなものだ

感性という麻薬が イタズラに心をみだしてくる

あの夕陽も 温もりも 涙も すべてはまぼろしなのに

私はなぜか 駆け出したくなってしまう

真っ白のキャンパスにぶつかって トマトのように潰れてしまえば

芸術になれるだろうか。

歩いてる

目下3.2センチメートル。を切りさく、白い無音、知っているか。
わたしはいた、いなかったいた、な。でもそんなの誰でもない。記号でしかない。記号、あんたのいってることの全部は記号。だから、その記号を何度も構成する。パズルみたいにカッターで鋭くされたものではなく、もっと、アットホームで、ああ生きぐさい、おけけの生えた、臭くて可愛いなまものであった、そんなやつが存在するって信じがたいね、うん。あ、わたし

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