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公務員キャリアの立ち位置

 最近、業務における国家総合職の立ち位置とは何か、ということについて考える機会があったので、まとめてみようと思う。

 まず、執務環境については、オフィス内であれば一般職職員や出向者(他省庁、自治体、独法、民間企業など)がいる。多くの課では総合職職員の割合はおそらく10%にも満たないだろう。かつ、一般職職員はその道のプロであり、出向者も当然業務に詳しい方が来るので、業務への知識やその組織の文化については圧倒的に彼らのほうが精通している。

 すなわち、業務内容に関する専門性については、総合職職員の出る幕はない。仮にたまたまその分野に詳しかったとしても、組織内でマイノリティであることから、一般職職員や外部出身の職員から反感を買うような行動をとっていては生きていくことはできない。

 一方で、多くの部署を経験しているがゆえに持っている強みもある。まず、客観的に多角的な視点から業務を見つめることができる。他の部署での業務の経験から第三者的な視点を提供することができるし、場合によっては新しい風をもたらすこともできる。同じような課題を突破した経験があれば、それを武器に大きく政策を前進させることもできるのだ。

 さらに、それまでに作り上げてきたコネクションも強みになる。他部署との連携が必要、他部署のノウハウを参照したいなどのニーズがあれば、それまで経験した部署の知り合いに尋ねることができる。出向者とパイプがあれば、組織内にとどまらず外部にもアクセスすることができるだろう。

 このように色々な関係者から話を聞いて、意見を集約して政策を進めることが、自然な流れとして業務になっていく。つまり、組織の中で求められるみんなのつなぎ役という役割が、そのまま政策を進めるにあたっての関係者間の調整が主たる業務となるようにつながっていくのだ。

 ゆえに、例えば就活でリーダシップをアピールする際も、この点に留意する必要がある。時にはメンバーと衝突しながら周りをグイグイ引っ張っていく形のリーダーよりも、周囲の意見をよく聞いて苦労しながらも全体最適を目指す形のリーダーのほうが、国家公務員として働くビジョンが思い浮かべやすい。

 以上のことからわかるように、総合職職員という立場は決して特権的なものではない。組織内の各職員が抱えている仕事が円滑に進むよう、潤滑油として奔走するのがその役割である。その結果、色々な仕事が舞い込んでくることになり、慣れない案件を抱えることも多い。困ったときの最後の砦的な立場として期待されるのだ。

 逆に言えば、それほど肩肘張る必要もない。特権的な立場ではないのだから、失敗を恐れずどんどんチャレンジしていけばいいと思う。関係者が多いということは、ミスの波及もそれなりにあるが、バックアップ体制もある程度は容易に構築できる。周りの人と協力してのびのびできる人材が活躍できるだろう。


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