【個別指導塾のワナ】1対2式ならば生徒にさける時間も2分の1です。
近年、子どもに対する親の教育熱はさらに高まっているようで、子どもを単に塾に通わせるのでなく、「その子に合った質の高い教育を」と、個別指導塾を選ばれるご家庭が増えているように感じます。
その一方で、やはり気になるのはお値段。如何せん個別指導塾は指導料が高く、1コマ当たり数千円は当たり前、1万円であっても全くおかしくないという世界です。
それゆえ、子どもを個別指導塾に通わせたいもののあまりお金は出せないという相反するニーズに応えるべく、先生1人に対して生徒2人以上という、1対2~式を採用する個別指導塾が増えています。
(以下、1対2式を対象として話を進めます)
しかしながら、私がかつて塾講師として働いていて感じたことですが、1対2式の塾も万能ではなく、デメリットもあります。
ここで、1対2式を採用している塾は、片方の生徒に問題演習をさせている間にもう片方の生徒に指導するため、1対2であっても生徒が不都合を感じることはなく、むしろマンツーマンだと先生が暇をしている時間分も指導料が発生してお金がもったいないとセールスしていることでしょう。
しかし、実際にはベテランの先生でないとそう簡単にうまくいかず、指導待ち(=自習)の時間が生まれます。
また、個別指導のメリットは分からないところがあれば逐一質問できるところですが、1対2式では自分自身が問題演習をしている間は他の生徒の指導時間となりますから、逐一分からない点を質問することはできません。
すなわち、1コマ90分だとしたら生徒1人当たりにさける指導時間は多くとも45分です。授業時間全部の90分ではありません。
そして、個別指導塾には授業についていくのが厳しい生徒さんが来塾することが少なくないです。そういった生徒さんに学校の授業内容を理解してもらうためには前提知識から指導する必要があります。
(例:現在完了形を扱うのにbe動詞や過去形が理解できていない)
しかし、45分でそれら全てを完結させるのは難しく、授業内容とそれを理解するのに必要な基礎の復習を両立させようとすると、中途半端な形になってしまいがちです。
つまるところ、1対2式だと1人の生徒につきっきりで対応することはできないのです。
それにもかかわらず、保護者の方とお話すると「ちょっと高かったけれどうちの子は全然勉強できないから、個別指導塾に入れてあげられて良かった。私もパート頑張らなくちゃ。」と仰ります。
私自身もできる限り補講対応などで生徒さんの成績に貢献できればと思いましたが、無償で全員に満足いくまで補講対応をするのも難しく、正直もどかしい気持ちでした。
では、1対2式の個別指導塾はどのような生徒向きなのでしょうか。
私は、①平均点前後レベルで勉強はできるが、集団塾となると講義が早くてついていくのが難しく感じる子(進度を生徒毎に合わせてもらえるため)や、②集団塾だと周りが気になって集中できなかったり質問がしづらかったりする子(他の生徒とはブースが仕切られている)に最適だと考えています。
ここで、平均点をかなり下回っている子はどうすればよいのか、と尋ねられるでしょう。
私としては、最初の半年ないし一学期ほどはマンツーマン指導を選んで基礎をしっかりと固め、その後成績がある程度上がったら1対2式に変更するというのが良いと考えます。
その際、マンツーマン指導も請け負っている1対2式の個別指導塾に入塾すればその後1対2式に変更するときに転塾する必要がなく、環境が変わるという負担をお子さんが負うことがなくて済みます。
期間限定といってもマンツーマン指導は非常に高いですから、最終的には家計との相談になるでしょう。
しかしながら、お金と違い、お子さんの中学(高校)3年間は一度きりです。
それゆえ、可能であれば、短期集中的に学力を授業を理解するのに必要レベルまで引き上げて1対2式にも対応できるようになってから1対2式の塾に通うことが、基礎が固まっていないお子さんにとってはベストではないかと思います。
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