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大学生になって気づいた。私は人の名前が覚えられない。

 最近、私は人の名前を覚えるのが苦手だということを自覚した。というのは、人の名前を1回聞いただけでは覚えられず、次会った時に気まずい思いをすることが幾度とあったから。

 中学生の頃は今ほどは個人情報保護が重視されていなかったのだろうか、連絡網という形で電話番号付きの同級生の名簿が配布されていた。それを見れば名前がすぐ分かったので無理して名前を暗記する必要はなく、覚えるのは自然の流れに任せておけばよかった。

 しかし、高校に入学すると、同級生の名簿表が配られることはなくなり、学年初めの授業での自己紹介で40人ほどの名前を覚える必要が出てきた。私の中学は1クラス20人弱であったので、同級生の数が倍になったのに加えての仕打ちである。

 正直、このときからトラブり始めていた。
 私は評議委員(各委員会から提案された議案を全校集会で議決する前に各クラス代表で事前に審議する役職)やクラス長を務めていた建前、同級生と話す機会が多かった。
 そして、人並みには人前に立つことがあった私の名前が覚えられていても、私自身は同級生全員とは関わることがなく、それゆえ、高校1,2年ぐらいの頃はまだ全員の名前を覚えられていなかった。
 そんなわけで、あるとき名前を一度間違え、ごもっともだが、えらい嫌な顔をされた。

 ただ、そうは言っても1クラス40人、同学年の人は300人。それに毎日同じ面子と合わせるわけだ。顔全員はっきりとは言わないが、おぼろげながらも高校3年の頃にはほぼ全員の上の名前くらいなら覚えられていた気がする。

 しかし、誤魔化せたのもここまで。大学に入ったらコミュニティが「指数関数」的に広がった。そうなると、どこにいっても毎度初めましてからのスタートに。そうすると、色んな人にその場その場で自己紹介されるが、もう記憶力のキャパシティを超えている。
 「○学部△年の・・・です!よろしく~!」なんて言葉を繰り返し聞いていると、神経衰弱のように記憶がごった返す。

 まだその日限りなら、辛うじて記憶の片隅には残っている。しかしながら、一晩寝ると顔の記憶こそあれ、名前はもう忘れてしまっている。
 そうすると、次その人と会うときは、忘れていることが悟られないよう、できる限り名前を呼ばないで切り抜けるしかない。

 そんなわけで、ここ最近は忘れる前に出会った人々の名前を手帳にメモするようにした。社会人の方々が名刺を管理されていることの代わりかなっと。

 これを始めたら大分マシになった。その人の属性と名前をメモしておけば2,3回ほど会っただけの人でも何とか思い出せるように。

 ただ、社会人になったとき、これで大丈夫なのかとは思う。
 なんせ取引先の人の名前を間違えでもしたらこっぴどく上司に叱られそうだから。それとも、上司の名前を暗記する代わりに空いた脳みそのキャパシティを取引先の人の暗記分に確保しておけば良いのだろうか。

 とにかく、人間の記憶力は徐々に衰えるというのに、社会人になれば名前を間違えない重要性は今以上に大きいだろうから。きっとサークルで先輩の名前を間違えたときの「あはは!すみません。」では済まないだろう。

 色々考えていると、気が重くなるので止めておく。人に名前を覚えてもらえると嬉しいものだが、それを皆にお返しするのは私からすると簡単ではない。


冒頭写真:Pixabay(2024/1/29)


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