でっかいことはしない。でも、ちっちゃいことはする。
「旅するからって、でっかいことしてやろうなんて思わなくていいんだ」
この言葉は、すーっとわたしの心を通り過ぎていった。
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冒頭にあげた言葉は、古性のちさんの「旅することばと写真展」で出会った。
世界中を旅しながら仕事をしているフリーライター・古性のちさんが旅した17カ国の記憶を巡る、
長野・京都・岡山・福岡・沖縄・東京の6都市、180日間かけて行われた写真展。
澄んだ写真。
綴られたことば。
あたたかな居心地の良い空間。
のちさんが世界にどんな色を見たのか。どんなことを感じたのか。
そっと耳元で囁くように、写真とことばに想いが込められていた気がした。
呼吸をするのも忘れるくらい、とても心地がよかった。
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Photo by Francesco Gallarotti on Unsplash
旅をするからには、何かでっかいことしないと。
そう思っていたし、それは当たり前のことだと思っていた。
海外の有名な場所できれいな写真を撮ったり、世界一周したり、そんな大きなことをして初めて「旅」と呼べるのだと。
そうしないと「旅」なんて語っちゃいけないんじゃないか、と。
そして、それを記事やブログ、たくさんの人の前で話すことでその「旅」は達成されるのだと。そう思っていた。
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「旅するからって、でっかいことしてやろうなんて思わなくていいんだ」
すーっと通り過ぎたこの言葉は、何度もわたしに問いかけた。
その度に、わたしは頭を悩ませ、考えた。
もういい!なんて思うこともあったけれど、逃げられなかった。
逃げてしまったら、何も無くなってしまうようなそんな気がしたから。
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自問自答のなかで見えてきたことは、
大きくても小さくても「旅」は「旅」で誰に何を言われても、その事実は変わらないのだと。
忘れてしまわないように、日記に書き留める。そんな些細なことで十分なのだと。
自分の中で旅をしてきたことを残しておくだけで充分なのかもしれないと。
だから、わたしは今、
「自分が見てみたい、感じてみたいそう思うことができたら、それでいいんじゃない?」って、これまでのでっかいことをしようとする私に、声をかけたい。
ちいさいことも、きっと大切だから。
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